2011 Fiscal Year Research-status Report
人間と動物の関係についての一考察―ペットブームとグルメブームの矛盾を手がかりに
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23530648
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
河島 基弘 群馬大学, 社会情報学部, 講師 (80454750)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 人間と動物の関係 / 動物権 / ペットブーム / グルメブーム |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本における人間と動物の関係の現状を(1)宗教の影響や民俗史などの歴史的視点、(2)社会の個人化傾向やペットブームなどの現代社会論的視点、(3)諸外国との比較という比較文化論的視点の3つの観点から考察することであり、研究初年度となる23年度は、文献の読み込みが中心となった。 (1)歴史的視点の研究は、いわば本研究の全体的な背景説明である。アニミズムや仏教、神道などの宗教と動物の関係を扱った文献、狩猟にまつわる日本各地の民俗史を渉猟し、歴史的視点から日本人と動物の関係を探った。中村禎里の『日本人の動物観』、山内昶の『「食」の歴史人類学』、また岩波書店の『ヒトと動物の関係学』シリーズ4巻、吉川弘文館の『人と動物の日本史』シリーズ4巻などを読んだ。 (2)の現代社会論的視点による研究では、現代日本人の動物に対する精神分裂症的な態度が考察の中心となる。近年、ペットブームが続いているが、その背景には、他者との濃密な接触を極力避けて一人でいることを好む社会の個人化傾向と、その反動として「心の癒し」を動物に求める現代人の孤独があると思われる。社会の個人化や孤独化がペットブームを生み出す構造についての知見を得るため、ウルリヒ・ベックの『危険社会』、ジグムント・バウマンの『個人化社会』『リキッド・モダニティ』などを読んだ。 最後に(3)比較文化論的視点による研究である。ベジタリアンの割合が高く、動物保護先進国としては、イギリスやアメリカが有名である。このため両国で書かれた文献、例えばマイケル・ポーランの『雑食動物のジレンマ』、ハロルド・ハーツォグの『ぼくらはそれでも肉を食う』、ジョナサン・サフラン・フォアの『イーティング・アニマル』のほか、人類学者マーヴィン・ハリスの『食と文化の謎』『文化の謎を解く』などを読んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の目的のうち、文献の徹底的な読み込みは、「研究実績の概要」で述べたように、おおむね順調に進んだ。ただ、24年度から実施を予定しているインタビューや参与観察のための下調べは十分とは言えない。この点が反省材料である。
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Strategy for Future Research Activity |
文献の読み込みを継続するとともに、国内外の有識者、NGOで働く活動家などにインタビューする。また、ベジタリアンの集まりなどに出席し、知見を深める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は1242円である。文献の購入費に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)