2013 Fiscal Year Annual Research Report
医療通訳の現状と課題ー在日外国人の使用言語に係わる医療コミュニケーションの研究
Project/Area Number |
23530670
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
川内 規会 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (30315535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
オガサワラ メリッサ 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教 (60457736)
山田 真司 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (00200741)
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Keywords | 医療通訳 / 在日外国人 / コミュニケーション |
Research Abstract |
平成25年度は本研究の最終年度とし、医療通訳の現状と課題を明らかにするため青森県内のボランティア通訳者対象の「医療通訳養成研修」を企画し実施した。ボランティア通訳者が医療現場で通訳をする時の精神的な壁を把握することを目的に質問紙調査とグループディスカッションの意見集約および分析を行った。 医療通訳技術の実践の他に、青森県における通訳業務の問題点、医療現場を経験した通訳者がかかえる問題、県内の通訳事情などをテーマとして扱った。その結果、ボランティア通訳者は、医療という特殊な場面では必要とする用語の訓練や医療現場の知識がないことで、精神的不安が大きいという結果が得られた。基本的な語学力に自信があっても、通訳者としての逐次通訳の技術的な力には自信がないという傾向も表れ、通訳の養成研修のような機会がかつてなかった本県では、通訳者が医療の現場に対応できるスキルを磨く手段がないことの不安と、通訳養成研修があれば参加したいと望んでいることが明らかになった。本調査目的には、本来の医療通訳の現状や課題を把握するのと同時に通訳者へ知識・技術・情報を与え、通訳者同士がお互いが交流できることも目指していたため、その効果は大きかったと評価する。 3年間の研究を通して、在日外国人の多い大都市や医療通訳派遣システムが形作られている大都市の課題と、現状の外国人が少ない地域でかかえている課題には、将来的改善点が明らかに異なるため、地方都市の現状を把握し、地域社会に合わせた医療通訳の対応が必要であることが本研究のまとめとしてあげられる。また、本研究課題の根本は日本全体の問題であり、国内の医療通訳システムをどの方向に位置づけていくかを形作ることが、今後の地方都市における医療通訳のあり方を考える上でも重要であるといえる。
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