2012 Fiscal Year Research-status Report
朝鮮学校における「民族」の形成・継承・変容のメカニズム
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23530672
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
山本 かほり 愛知県立大学, 教育福祉学部, 准教授 (30295571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野入 直美 琉球大学, 法文学部, 准教授 (90264465)
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Keywords | 民族性 / 在日朝鮮人 / 朝鮮学校 / 朝鮮民主主義人民共和国 |
Research Abstract |
本年度は愛知朝鮮高級学校の卒業生5名,保護者10名へのインタビューを行い,生活史の中にみる朝鮮学校での教育の意味について検討することを行った。また,定期的な愛知朝鮮高級学校での授業,休み時間などの参与観察,各種行事への参加,インフォーマルインタビューなども継続的に行い,その中から,在日朝鮮人にとって朝鮮学校およびそのコミュニティの持つ意味,意義などについての考察を行った。 さらに,6月には愛知朝鮮高級学校の朝鮮民主主義人民共和国への「祖国訪問」に一部同行し,平壌での生徒たちの様子を参与観察,生徒たちにとって「祖国」とされる朝鮮民主主義人民共和国の意味,祖国訪問事業自体がもつ意味,そして,平壌での生徒たちの感想などをフィールドノートとしてまとめた。さらに8月にも平壌を再訪し,在日朝鮮人学生たちと同じホテルで過ごし,一部プログラムもともにしながら,学生たちにとっての平壌の意味も考察を行った。 また,初級部,中級部への授業観察,行事なども参加し,朝鮮学校コミュニティへの帰属意識が形成されていくプロセス,そのことが子どもたちにとって持つ意味なども考えた。 今年度は,日本社会学会にて中間報告を口頭発表,また,それを論文としてまとめた。また,訪朝のこと,参与観察での発見なども,在日本朝鮮人総連合会の機関誌『朝鮮新報』にエッセイとして寄稿もおこない,また,『イオ』という雑誌にも短文を寄稿した。 そのほか,朝鮮学校が無償化排除されたことによる裁判提訴プロセスも参与観察し,そのことを通じて,子どもや親たちにとっての朝鮮学校の意義を考える機会をもった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では全国の朝鮮高校でのインタビュー調査を計画したが,物理的に無理であること,また,信頼関係の形成に思いのほか時間がかかり,愛知朝鮮高級学校での参与観察がようやく可能になっていると考えている。しかし,そこでのラポールはかなり確固たるものとなり,かなり自由な参与観察,行事参加,さらに最大の行事「祖国訪問」も可能になり,それをある程度口頭発表していることで,おおむね順調に進展していると考えることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は全国の朝鮮高級学校を一度は訪問することを目標とする。 また,愛知朝鮮高級学校でのインテンシブな調査,また,個別へのインタビュー調査なども継続して行う予定である。さらに,朝鮮民主主義人民共和国への「祖国訪問」も今年度よりさらなる同行が可能なように交渉を続けている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として旅費,インタビュー謝礼,インタビュー文字化作業への謝金を使う予定である。 旅費は全国朝鮮高校訪問,および朝鮮民主主義人民共和国での調査費用にあてる。
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Research Products
(2 results)