2011 Fiscal Year Research-status Report
障害者雇用を可能とする農的福祉コミュニティに関する研究
Project/Area Number |
23530677
|
Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
杉岡 直人 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (10113573)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 障害者雇用 / 農業 / 農的福祉コミュニティ |
Research Abstract |
1) 障害者の就労機会確保と地産地消型の地域農業の推進=生産者と消費者を結ぶ社会システムの可能性について、国内の事例を通じて具体的な動向を把握できた。とくに北海道江差町の江差福祉会における災害備蓄用のあすなろパンの製造を契機に南富良野町からまつ園との共同生産体制の構築にみられるように施設間連携が具体化しており、さらに障害のある人々の雇用が地域の若者や高齢者等の雇用にも派生しており、地域再生の雇用確保につながっている。2) 農業再生を核とした取り組みが、まちづくりの課題解決につながる新たな雇用の創造を高齢者にも展開していくことを試行的に取り組み始めているコッコファーム(熊本)の事例を聞き取りすることができ、障害のある人々の雇用問題解決が広くまちづくりと高齢者雇用の課題にも対応する普遍性をもつことを把握できた。3)近年の動向として、ソーシャルファームへの着目が具体化しており、食の安全と安心を支える仕組みのなかにオルタナティブな障害者の雇用機会を組み込むことで、高齢者にも働きやすい環境整備が可能となり、現実的な高齢社会の進行のなかで消費者であると同時に生産者になりうる人々が増加する仕組みを開発することが、積極的な意味での地方分権型社会の実現をはかることにつながるといえる。4)企業性の低い分野が多い障害者就労の現場と農業問題の隘路を同時に解決することで、共生型の農的福祉コミュニティの形成が可能になる。障害者雇用は多様化しつつ、一般就労支援を目的として位置づける取り組みが現実化しつつある。関連分野の研究者との情報交換が進み、論点をクリアにすることができたと同時に、フィールドとなる農業に関する取り組み関係者とも連携をはかることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)障害者の就労機会確保と地産地消型の地域農業の推進=生産者と消費者を結ぶ社会システムの可能性について、国内の事例を通じて具体的な動向を把握できた。とくに北海道江差町の江差福祉会における災害備蓄用のあすなろパンの製造を契機に施設間連携が具体化しており、さらに障害のある人々の雇用がそれにとどまらず、地域再生の雇用確保につながっていることを把握した。2)まちづくりの課題となる新たな雇用の創造を高齢者にも展開していくことを試行的に取り組み始めている事例も把握することができ、障害のある人々の雇用問題解決が広くまちづくりと高齢者雇用の課題にも対応する普遍性をもつことを予測しうる可能性を把握できた。3)ソーシャルファームへの着目が具体化しており、現実的な高齢社会の進行のなかで消費者であると同時に生産者になりうる人々が増加する仕組みを開発することが、企業性の低い分野が多い障害者就労の現場と農業問題の隘路を同時に解決することで、共生型の農的福祉コミュニティの形成が可能になる。4)障害者雇用に関するアンケート実施については、総合福祉法の見通しを受けて実施予定であったが、課題を指摘される中が、調査のタイミングが図りきれず、次年度へ延期することとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)障害者の就労機会確保と地産地消型の地域農業の推進=生産者と消費者を結ぶ社会システムの可能性について、国内の事例を通じてモデル化を検討する。2)障害のある人々の雇用がそれにとどまらず、地域再生の雇用確保につながっていることがまちづくりに視野をおく事業所の実践に認められることを把握する。あわせて、高齢者雇用の課題につながる普遍性をもつことを把握する。3)近年の障害者雇用の取り組みにおけるソーシャルファームへの着目に対応して、一般就労を可能にする仕組みを展望することが基本となるため、企業性が低いとされる農業分野が障害者就労問題の隘路を解決することで、共生型の農的福祉コミュニティの形成が可能になることを指摘する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)前年度実施を見送ったアンケート調査に関して、障害者雇用に関するアンケート実施について、総合福祉法の現場での受け止め方を考慮して調査設計と実施を進める。2)障害者の就労機会確保と地域農業の推進=生産者と消費者を結ぶ社会システムモデルの可能性について雇用関連データの整理と事例調査と連携させたワークショップ形式の調査を実施する。3)地域再生の核となる雇用確保を農業施策と施設経営戦略をどのようにつなげて取り組むのかをリーダーに取材する。と同時にソーシャルファームへのつながりを組み立てるための聞き取り調査を実施する。
|