2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530688
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
尾崎 寛直 東京経済大学, 経済学部, 准教授 (20385131)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 社会的災害 / 被害補償 / 補償システム |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度にあたる平成26年度は、これまで集約してきた各事例の知見を総合して研究成果をまとめていくことに傾注した。ただし、最終年度ではあるが、公式確認から50年、59年を迎える新潟水俣病、熊本水俣病にかんして新たな大型訴訟が提起された状況を受けて、問題の背景を詳細に把握し政策提言を行うための研究会を新たに立ち上げた。また、この2年間定点観測を続けてきた放射能汚染の被害地域についてもフォロー調査を行っている。 これらを受けて、最終年度ということを意識して、研究業績としては論文5本を執筆し(うち3本は平成27年度中の発刊)、学会等での研究報告を3回行ってきてきた。最終年度においてそれなりの政策提言を行うことができたと考えている。 具体的に言えば、「原子力災害からの復興と医療・福祉的課題」(2014年9月)、「原発避難と復興政策の狭間にゆれる被災者の生活問題」(2015年5月刊行)、「避難地域の医療・福祉にみる復興の課題](2015年7月刊行予定)においては、原子力災害がもたらす被害の特殊性を明らかにし、とくに長期避難にともなう被災者の健康問題(精神的負荷も含む)が発生する構造を論じた。上記に関連して、「被災者の暮らしの再建と医療・福祉的課題」(2015年1月)では、自然災害(津波等)による被害構造との違いを意識しながら論じた。「横断的比較による水俣病の補償システムの検証」(2015年4月刊)は、公害や薬害、職業病における被害補償制度の横断的比較研究をふまえて、鳥瞰的に水俣病の補償システムをあらためて検証する論文であり、本研究の趣旨に基づく研究蓄積の成果の一つであるといえる。 以上、平成26年度中に執筆あるいは報告できた研究成果には限りがあるものの、本研究によって得られた視点および研究蓄積は今後もそのまま応用が可能なものであり、引き続き成果の公表に努めていきたい。
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