2011 Fiscal Year Research-status Report
抑圧を焦点とするクリティカル・ソーシャルワークの理論と実践
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23530734
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
田川 佳代子 (沖田 佳代子) 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (10269095)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | ソーシャルワーク / 社会福祉援助技術 / クリティカル・セオリー |
Research Abstract |
本研究の全体構想は、ポスト福祉国家の時代の社会的諸問題に応えていくことのできるソーシャルワークはどのようなものであるかを明らかにし、ソーシャルワークの再定義・再構築をめざすものである。 研究課題は、次に掲げる具体的な研究目的の達成によって実現が図られる。(1)伝統的ソーシャルワークの理論と実践の批判分析とともに、社会システムとしての福祉国家/福祉資本主義の批判分析を行う。(2)批判分析の焦点となる抑圧の構造を詳細に調べる。(3)批判分析をソーシャルワーク実践に変換する包括的枠組みと構成要素について調べる。(4)抑圧にかかわる現実の実践について理論化を試みる。 今年度は、まず、ソーシャルワークの社会的脈絡の変容として、資本主義の政治経済的変化と、グローバル化と福祉への影響について分析を行った。 グローバル化、規制緩和、福祉国家の危機のもとで広がる社会的排除や貧困、不平等を見つめ、人々の抱える生きづらさや社会的諸問題を取り扱い、その解決に向けて働きかけるソーシャルワークの再考を進めた。 それは搾取・不平等・抑圧的な社会から自由な社会への移行をめざす解放の実践と重なり、伝統的な社会理論・哲学・科学に対する批判分析と、それに代わるオルタナティヴな理論の提示が含まれる。 具体的には、社会正義への志向性をもち、クリティカル理論、ポストモダニズム、ポスト構造主義の思考から構想されるソーシャルワーク理論と実践のディスコースから、理論的構成要素について分析し、ソーシャルワークの理論的再編において外すことのできない主題を導き出し、考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究計画では、年間計画の前半で文献研究を行い、後半にフィールドワークやインタビュー調査を行うとし、その間の期間に学会発表・論文の作成を行うものとしていた。しかし、結果は、初年度内での研究成果の発表には至らなかった。十分に練られた研究の成果を導き出し、論文にまとめ、雑誌に掲載されるまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も、年度計画における前半の文献研究、後半の調査研究を進める。今年度は、特に、批判分析の焦点となる抑圧の構造を詳細に調べる。 基本的に、研究の推進は、十分に研究の成果を練ったかたちで論文にし、投稿し、査読審査を受け、掲載可となるよう、取り組みを進める。 その一方で、研究の成果を映像資料として作成する取り組みを進める。また、研究の成果をホームページで発信し、情報の共有化を進める。これによって、現場における実践と大学における理論研究が、交わる場をつくる。 日本語と英語の作成を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、達成度が「遅れている」理由に記した、研究成果の発表が遅れたために、それに関連して研究成果の映像資料の作成にまで至らず、そのための経費が生じた。今年度は、この遅れを挽回し、映像資料の作成、そして、今年度の計画として計上しているホームページの作成・冊子の作成による研究成果の発信を進める。日本語と英語による作成を行う。そのための費用を計上する。 研究の成果について、英語による論文の作成を行う。海外雑誌への投稿を準備する。
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