2013 Fiscal Year Annual Research Report
団塊(ベビー・ブーマー)世代の引退過程の国際比較と社会保障の効率的配分研究
Project/Area Number |
23530807
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Research Institution | National Institute of Population and Social Security Research |
Principal Investigator |
西村 幸満 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 第2室長 (80334267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 正 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障基礎理論研究部, 第2室長 (00425761)
野口 晴子 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90329318)
泉田 信行 国立社会保障・人口問題研究所, 社会保障応用分析研究部, 第1室長 (70360716)
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Keywords | ベビーブーマー / 引退過程 |
Research Abstract |
団塊世代は、他の世代に比べて1970年代後半からその動向が注目された。先行研究を集約すると、Baby Boomerへの注目は、高齢化問題に偏る日本と韓国を除くと、欧米ともに文化的・消費的な側面において強く、国際比較に十分といえる共通問題は見いだせなかった。日本では、団塊の世代の特異性を強調する研究のほとんどが、団塊世代のみを分析対象においており、前後の世代との特異性について十分な検証がおこなわれているとはいえない。団塊世代の研究は、起点である「団塊の世代」が未来小説という形式をとっており、過度に世代の特異性を強調したものの、社会科学的な検証は不十分であるが、その後、団塊世代が特殊であることを前提となっている。団塊の世代が60歳を迎える2007年前後に至って年金受給格差問題が顕在化するときになって初めて世代間比較が行われた。 団塊世代は人口規模が大きく、戦後の消費を牽引した側面がある。その引退過程は「改正高齢者雇用法」による定年制の段階的延長・再雇用制度の導入により「団塊ショック」は吸収されたと思われる。 社会調査データに基づいて年齢コーホート別に就業状態を確認した結果、団塊の世代とそれ以前生まれの世代で60-64歳時の分布に変化はないことが明らかになった。さらに、平成24年度の就業構造基本調査によれば、介護実施中の就業率は、団塊の世代を含む50歳代以降のどの10歳コーホートでも低い。しかしこの関係の内生性を考慮して、日本と欧米諸国の92の論考をメタ回帰分析した結果、「純粋な介護の就業抑制効果は極めて小さ」いことを示した。団塊の世代を含む高齢者のグループ・インタビューの分析の結果、引退過程における健康状態の影響が団塊の世代においてあるという結果にはならなかった。分析結果を議論からは、団塊の世代がとくに顕著に引退過程に特異性があったとはいえない。
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Research Products
(1 results)