2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530970
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
河原 純一郎 中京大学, 心理学部, 教授 (30322241)
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Keywords | 認知行動 / 疲労 / ストレス |
Research Abstract |
本年度は認知課題成績と疲労・ストレスに関する2つのサブプロジェクトを実施した。 いずれも順調に進行した。特に,画像に基づく疲労判断プロジェクトは次のような成果がえられた。このプロジェクトでは1時間程度の期間内の疲労を推定する手法を開発した。ここでは2つの期間の画像を比較し,疲労判断をする。具体的には,まず一定期間(たとえばここでは最初の10分とする),オンラインで動画像をカメラから取得し,フレーム毎にピクセルどうしの輝度値の比較を行う。比較するフレームはたとえば0.5秒おきにサンプリングする。そしてその期間中に大きく変動のあった回数を合計し,最初の期間のベースラインの変動値とする。大きく変動があった値とする基準は,たとえばその期間内の輝度値が平均値から1SD以上の増減があることとする。ベースラインでの変動値が決まったら,次に比較したい時期の変動値を同様にして求めた。 こうして求めた直近の一定期間(この例では10分間)の変動値とベースラインの変動値をt検定し,有意に異なっていれば疲労状態にあると判断する。ベースラインと直近の値はそれぞれの画素に対して対応している。そのため,それぞれの画素の対を対応のあるt検定を用いて比較することによって,検定力を高めることができる。計算量を減らすためには,いくつかの画素をまとめた値(たとえば4x4の16画素の合計)をそれぞれの期間で比較する。疲労状態にあると判断された場合は,フィードバックを視聴触覚を通じて提供する。効果の大きさに応じて疲労度の警告の重みを変えることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
認知行動実験の結果は学術誌 Attention, Perception & Performance に投稿でき,現在2回の改稿を経て採択目前まで迫っている。もう一方の動画に基づく疲労推定は特許を出願することができた。これらの理由から概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
認知課題に及ぼすストレスの影響を調べる上で,ストレスのタイプを増やすことを計画している。転職に伴い,近くの研究室で運動生理を専門にしているところと交流の機会を得た。このことを契機として,運動疲労がその後の認知行動に及ぼす影響を検討するサブプロジェクトを追加することを計画している。被験者雇用,実験補助者の雇用が研究費使用の最も主要な要素となる。初年度とは実施機関が変わったため,被験者雇用,実験補助者の雇用の環境とルールが大幅に変化し,予定したよりも少ない研究費でこれらを賄うことができるようになったので,この利点を生かして研究推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として被験者実験の謝金および実験補助者雇用のために研究費を使用する。これらの目的に対して,拠出される謝金額が予定を下回る可能性がある。現所属機関の謝金額拠出基準は1時間800円であり,本課題申請時の基準である半日5000円に比べて大幅に低い。加えて,大学院生,学部生が研究室に配属されたため,被験者実験補助者の雇用に依存しなくても実験が実施できる場面が増えた。さらに,被験者謝金だけでなくコースクレジットの対象となる実験として本課題の実験が登録される見込みであるため,謝金への依存度が低下することが見込まれる。 このほか,生化学的分析の外注費用,論文校閲費用,および出張旅費が割合の高い使用目的となる。
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Research Products
(5 results)