2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23530970
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
河原 純一郎 中京大学, 心理学部, 教授 (30322241)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 認知資源 / 急性ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
認知資源は行動制御のための心的エネルギーとして例えられるように,作業記憶を中心として円滑な認知行動の基礎になっている。本年度は気分操作を行った際に副次的に生じる効果を検討した。本来,ネガティブな気分状態を導入する研究では,APA (2002) による倫理的指 針に沿って,参加者のリスクを出来るだけ減らすよう十分に配慮された実験デザインが用いられている。一方,ストレス負荷を行う実験者側の気分状態については,これまで研究の対象とはされていない。実験室実験は参加者と実験者の社会的相互作用であることを踏まえると,両者の間には何らかの関連がある可能性が考えられる。そこで参加者へのストレス負荷が実験者の気分状態に与える影響を検討した。実験では,顔見知りでない同性の2名ペア30組を実験者役と参加者役のいずれかに割り振った。実験者役にはストレス負荷の実験である旨の説明およびTrier Social Stress Test(TSST)の実施方法を説明した。参加者役にはTSST で実施する自己紹介のスピーチの内容を考えるよう求められた。その後,参加者役は実験者役の部屋に入り,実験者役とビデオカメラの前で,5 分間のスピーチ課題と5 分間の暗算課題を行った。実験者役は,スピーチ中の参加者の非言語行動を評価するよう振る舞った。TSSTが終了後,フィラー課題を10 分間実施し,その後,STAI 質問紙への回答と唾液採取を行った。その結果,ストレス負荷操作は参加者だけでなく実験者の気分にもネガティブな影響を及ぼすこと,参加者と実験者の気分の変化の間には負の関連がみられることが明らかとなった。すなわち,参加者のネガティブ気分が低いほど実験者のネガティブ気分は高かった。この結果は,自己不一致理論に基づく予測と一致しており,ストレス負荷操作の失敗への懸念が実験者をネガティブな気分状態に導くと考えられる。
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Research Products
(3 results)