2011 Fiscal Year Research-status Report
義務教育学校における学力評価システムの改善モデルの構築と評価に関する調査研究
Project/Area Number |
23530979
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小泉 祥一 東北大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (30136410)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 教育評価 / 学力評価 / 教育課程経営 |
Research Abstract |
義務教育学校における学力評価システムの改善モデルを構築するために,文部科学省,中教審,教育委員会に対する聞き取り調査を行うとともに,指導要録改訂に関する審議会資料及び学力評価に関する手引書の分析を行った。また中国・杭州市の学校調査を行い,学力評価の実態と課題について把握した。 とりわけ,文部科学省調査や教育委員会調査から,参考様式として提示された指導要録の様式が学校現場では今回の改訂期においてもほぼそのまま使用され,現行の観点別評価と評定による評価方式が浸透しているが,依然として時間的な作業負担や説明責任の心理的負担が大きいことが分かり,観点別評価と評定の取り扱い及び校種間の関連性についてさらなる検討が必要であることが明らかになった。 調査や先行研究の分析から,評価すべき学力について,学教法第30条第2項の学力の3要素,すなわち「基礎的な知識及び技能」,「思考力,判断力,表現力」,「主体的に学習に取り組む態度」と指導要録の「4観点」との再整理が必要であることが明らかになった。また,審議会資料や先行研究を分析し,学力について,(1)基礎的・基本的な知識・技能の側面,(2)考える力(思考力と表現力)の側面,(3)主体的な学習態度や学習への構え・姿勢についての学習技能・学習規律,の3側面から構成することの重要性が明らかになった。さらに,3段階評価が相対評価に陥る危険性についても明らかになり,未達成・要努力の2段階評価と言葉による具体的記述の評価方式の検討が必要であることが分かった。 これら調査や資料・文献分析から得られた知見をもとに,次年度は義務教育学校における学力評価システムの改善モデルの構築を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定の文部科学省や教育委員会調査及び指導要録改訂に関する審議会資料や先行研究の分析は順調に進んでいるが,教育委員会へのアンケート調査を次年度に持ち越している状況である。それは,昨年の3・11東日本大震災からの復旧作業により当初計画していた作業や調査,研究資料の収集などの取り組みが遅くなり,そのことにより,研究活動がずれ込んだことによる。 また,外国調査としてイギリスの学校調査を計画していたが,PISA調査結果が公表され,中国・上海市が世界一になったということもあり,当初のイギリス調査を後回しにし,上海市の影響を強く受けている杭州市の学校調査に切り替え,行った。 以上のことから,順調に進展とは必ずしも言えず,やや遅れている状況であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度の調査研究をもとに義務教育学校の学力評価システムの改善モデルの構築を試みる。 教育委員会へのアンケート調査を行い,学力評価における課題を把握する。 学力形成と学力評価に力を入れている小・中学校への調査を行い,学力評価における課題を把握する。研究協力者の学校を中心に依頼する。 初年度にできなかったイギリスの学校調査を行い,小・中学校における学力評価方式の現状と課題について把握する。 教育委員会調査,学校調査,イギリスの学校調査をもとに,学力評価システムの改善モデルを修正する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の研究を効率的に推進したことに伴い,派生した繰越額が109362円あり,それを加えて,合計1309362円について,物品費459362円 旅費450000円 人件費・謝金250000円 その他150000円に使用する。
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