2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23530994
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
寺崎 弘昭 山梨大学, 教育人間科学部, 教授 (60163911)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 学校衛生 / 西洋教育史 / 身心思想 / 健康 / 養生 |
Research Abstract |
1. 1904年に第1回が開催された「学校衛生国際会議」の会議録(International Magazine of School Hygiene)および1907年に開催された第2回学校衛生国際会議の会議録(Second International Congress on School Hygiene: Transactions"(1908)の目次整理を行い、史料分析の前提作業を終えた。また、1891年にロンドンで第7回会議が開催された「世界衛生会議」中の学校衛生が主題とされたものを、その会議録 (Transactions of the seventh international congress of hygiene and demography (Vol. iv: infancy, childhood and school life), 1892)から抽出した。2. 「学校衛生国際会議」の学校衛生論の裾野を成す英・仏・独における学校衛生論の歴史的展開について、英・仏・独それぞれを専門とする連携研究者との共同研究会を計2回開催した。第1回研究会においては、今回科研課題の趣旨および「学校衛生国際会議」史料の分析作業成果が共有された。第2回研究会においては、19世紀以降に誕生する「学校衛生(school hygiene)」概念を身心思想史のなかに位置づけることの重要性に鑑みて、英・仏・独それぞれの身心思想史(身心医学史・社会衛生史を含む)に関する先行研究について情報の交換と共有が行われた。その中で、19世紀イギリス公衆衛生改革におけるエドウィン・チャドウィックに関する報告、19世紀イギリス骨相学(Phrenology)の衛生観に関する報告、1900年前後のフランスにおける人口衛生政策に関する報告が行われ、学校衛生(思想)史に直接関連する先行研究に関する情報交換が行われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度としては、連携研究者とのあいだで、本課題に関する共通認識を形成することができ、また、課題の基礎的前提作業を固めたうえで、それぞれの研究報告もなされてきている。次年度において、先行研究の収集・検討・整理が進み、かつ史料蒐集が現地調査も含め進展することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
四つの方向での研究作業が、課題に関わって、推進される必要がある。1. まず、既に整理された、第1回「学校衛生国際会議」会議録(International Magazine of School Hygiene)および第2回学校衛生国際会議会議録(Second International Congress on School Hygiene: Transactions"(1908)の目次を踏まえ、また1891年にロンドンで第7回会議が開催された「世界衛生会議」会議録 (Transactions of the seventh international congress of hygiene and demography (Vol. iv: infancy, childhood and school life), 1892) 中から抽出された学校衛生が主題とされたものについて、会議における学校衛生概念の分析を逐次遂行すること。2. 「学校衛生国際会議」の学校衛生論の主要な裾野を成す英・仏・独における学校衛生論の歴史的展開を明らかにするために、英・仏・独それぞれの学校衛生関連著作および身心思想史(身心医学史・社会衛生史を含む)に関する史料の蒐集・分析を進めること。そのためにも、現地調査を実施すること。3. また、英・仏・独それぞれの学校衛生(思想)史および身心思想史(身心医学史・社会衛生史を含む)に関する先行研究の収集・整理を進め、その知見を共有すること。4. そうしたそれぞれの成果を共有し、19世紀以降に誕生する「学校衛生(school hygiene)」概念を身心思想史のなかに位置づけ整理するために、連携研究者との共同研究会を開催すること。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1. 既に整理された「学校衛生国際会議」会議録の目次を踏まえ、また1891年にロンドンで第7回会議が開催された「世界衛生会議」会議録中から抽出された学校衛生が主題とされたものを含め、その中の学校衛生概念の分析を逐次遂行する。2. 「学校衛生国際会議」の学校衛生論の主要な裾野を成す英・仏・独における学校衛生論の歴史的展開を明らかにするために、英・仏・独それぞれの学校衛生関連著作および身心思想史(身心医学史・社会衛生史を含む)に関する史料の蒐集・分析を進める。そのために、平成24年度においては、仏・独において連携研究者による現地調査を実施する(仏:河合務、独:山岸利次)。3. 英・仏・独それぞれの学校衛生(思想)史および身心思想史(身心医学史・社会衛生史を含む)に関する先行研究の収集・整理を進め、その知見を整理する。なお、平成23年度において「次年度に使用する予定の研究費」として遺された研究費使用額約5万円は、主に18世紀イギリスに関する身心医学史関連図書8冊が平成23年度内に間に合わなかったために生じたものであり、平成24年度に蒐集される史料となる。4. 以上のそれぞれの研究成果を共有し整理するために、連携研究者との共同研究会を開催する。
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