2012 Fiscal Year Research-status Report
グローバルかつ長期的な未来世代への責任を志向する教育学の基礎的研究
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23531025
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
太田 明 玉川大学, 文学部, 教授 (30261001)
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Keywords | 世代間倫理 / 未来世代 / 責任 / 世代間正義 / ハンス・ヨナス / UNESCO / グローバル化 / ソクラティック・ダイアローグ |
Research Abstract |
研究課題「グローバルかつ長期的な未来世代への責任を志向する教育学の基礎的研究」に対して、A.「現代の世代の未来世代への責任 に関する宣言」の検討、B. (ハンス・ヨナスなどの)未来責任の思想の原理的検討、C. (K.-O. アーペルとその研究グループによる)討議倫理学的共責任論の理論的・実践的検討、の3つの部分的なテーマを設定し、AからBを経てCへと年次的に重点を移動するように研究計画を立てている. 全体で、2回の口頭発表(Aについて1回、Bについて1回)を行い、3編(Aについて1編、Bについて2編)の論文を発表し、2回の海外出張を行った。 A.については、「「現在世代の未来世代に対する責任に関する宣言」・地球信託・未来世代の権利」は、未来世代の権利論の一つの規定と考えられる「地球信託」(trust) に焦点を当てて考察した。特にE.ブラウン=ワイスによる「地球的権利(planetary right)」の思想を検討し、それが信託法の枠組みを援用したものだることを指摘した。 B.については、「地震・原発・天・鯰 - 責任とアニミズム的思考 -」と責任概念の由来と経緯(3)」を公表した。前者では、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所爆発事故を期に問われた災害と事故における責任追求のありかたについて、因果的思考と規範的思考とが複合している点を指摘した。後者では、マッキーオン、リクール、バイエルツにおける責任概念の展開の特徴を比較検討した。 A.に関して、The 6th Congress of the Mediterranean Society of Comparative Education に、C. に関して、ソクラティック・ディアローグの創始者レオナルド・ネルゾンの著作の検討を行うSokratisches Gespraech, Lektuersemnar 2012に参加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は海外学会に2回参加し、そのための準備、日程の重複などで、国内学会への参加・発表を行うことができなかった。また、2回の口頭発表(Aについて1回、Bについて1回)を行い、「研究実績の概要」で述べたように3編(Aについて1編、Bについて2編)の論文を発表した。 Aについては、口頭発表、論文発表のどちらも順調に推移している。 Bについては、口頭発表や論文発表など比較的順調に行なっているが、当初計画した基本資料の実地調査を行っていない。 Cについては、アーペルの共責任概念に関する未発表論文を含めて準備を重ねている。Sokratisches Gespraech, Lektuersemnarの参加もその一環であるが、現在まで成果としては公表に至っていない。 したがって、現在までのところ、Aについては順調、Bは部分的に遅れている、Cに関してはやや遅れている、全体としてはやや遅れていると自己点検する。
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Strategy for Future Research Activity |
全体としては計画通りに進めるが、現在までの達成度に鑑み、特にテーマB、Cを重点的に行う。 ・まず、アーペルの共責任概念に関する未発表論文の公表、教育学的観点からする未来世代への責任に関する学会誌依頼論文を完成させることに努め、これを軸にして従来の研究を進める。 ・A、Bに関しては、責任概念の由来と展開、未来世代の権利論/現在世代の責任論の検討という方向で研究を集約する。 ・Cに関して、教育思想および技法の観点から対話と討議の異同、その内在的構造に関して、理論的研究を行う。とくに討議倫理学とソクラティック・ダイアローグとの関連、後者における「遡及的抽象」という基礎概念の解明を行い、国内学会で公表する。また、SFPC/PPAのInternational Conference, およびinstitution Philosophie Pratique Seminarに参加し、調査および研究交流を行うことで、実践的な方向にも知見を深める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
おおむね当初計画通りに進める。 ・24年度に行った2回の海外出張では、予想していたほどの費用がかからなかったため、繰越が発生した。この繰越を今年度の研究図書の整備、海外出張旅に充当する。 ・特にソクラティック・ダイアローグ研究用図書の整備を進める。 ・テーマB・Cに関連した3つの海外学会、研究会(SFPC/PPAのInternational Conference(ドイツ), および Institution Philosophie Pratique Seminar(フランス), International Group on Comparative Monitoring of the Implementation Policies of the Right to Education(台湾))に参加するために海外旅費を使用する。 ・その他、関連する国内学会、研究会などへ参加し、情報・資料収集・発表を行うために、国内旅費を使用する。 ・これまでの研究を総括し、全体の報告書を作成する。そのために印刷費を使用する。
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Research Products
(5 results)