2013 Fiscal Year Annual Research Report
学校管理職養成の「費用対効果」研究-韓国校長資格研修をてがかりに-
Project/Area Number |
23531069
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
元兼 正浩 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (10263998)
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Keywords | 校長資格研修 / 費用効果分析 / 韓国教育行政 |
Research Abstract |
国や自治体などの公的セクターが公共事業や政策の採択の可否を決定する際に用いる手法の一つとして、費用便益分析(Cost-Benefit Analysis)や費用効果分析(Cost-Effectiveness Analysis)があるとされる。しがしながら、教育行政の領域ではあまりなじみがなく、学問的にも、費用効果分析を用いた教育行政学研究は必ずしも進展していない。そこで先行研究のレビューを教育行政に留めず広く渉猟しながら、特定自治体の総合教育施策や全国自治体の学校統廃合事例を手掛かりに、教育行政における費用効果分析の可能性を追究してきた。 あわせて校長資格研修制度の背景となる校長人事制度や教職員の資質能力開発の理論的な整理を行い、日本では校長の専門職基準(日本教育経営学会作成)、韓国では教育部作成の研修体系の法令を手掛かりに、実際の校長養成や研修制度の体系について吟味した。その際、韓国の研究者からのレクチャーを受け、また過去の校長資格研修の資料や映像を吟味し、その効果と課題について検討した。年度末に訪韓して研究成果報告を教育部(日本の文科省に相当)において行い、一定の評価を受けた。 韓国において校長資格研修制度の成果は高く認知・評価されており、そのため多額の教育資源投資が行われているが、そこでの効果は具体的な職務遂行力量能力の形成や発達というよりも制度論的な資格取得に伴う外部効果性などによる部分が大きい。 我が国では校長の専門職基準(プロフェッショナル・スタンダード)の詳細な内容吟味や批判が行われ続けているが、むしろ関係職能団体や教育行政機関との連携の中で制度的認知や社会的評価を向上させなければ、費用投入の議論に繋がらないことを指摘しておきたい。
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Research Products
(6 results)