2011 Fiscal Year Research-status Report
胎児・乳児への音楽の関わりが乳児期・幼児期の発達に及ぼす影響についての特徴的傾向
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23531078
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
岡村 弘 東京福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (30141732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関島 英子 日本保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (10269508)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 音楽胎教 / NIRS / CD / 母の声 / オルゴール |
Research Abstract |
本研究は、胎児および乳児への音楽的関わりが、乳児期から幼児期にかけて脳の発達に及ぼす影響を調査し、その特徴的傾向を導き出すことによって幼児期以降に起こす問題行動の原因に対する音楽的働きかけの有効性を検証し、出産前後における母親の、胎児及び乳幼児への音楽的関わりの重要性を明らかにすることを目標としている。 初年度は、事例の少ない新生児へのNIRS(近赤外光脳機能測定装置)の装着によるリスクを避け、安全を期すために、東京福祉大学の倫理委員会の承認を受けた後、延20名程度の学生の脳内活動ををNIRSによって測定するテストを行った。さらに、埼玉県上尾市内のナラヤマレディースクリニックの協力を得て、研究協力を申し出た妊婦15人に対して、アンケート調査と共に、オルゴール音および同オルゴール音を収録したCDを使用してNIRSの測定を実施した。 また、平成24年2月に栃木県内の私立幼稚園において園長立会いの下、11名の5歳園児を上記妊婦と同じ方法で測定した。さらに同時期、軽度のアスペルガー症候群の兆候があるとされている研究分担者の知人の息子5歳児にも同様の測定を行った。 これらの測定方法のテストは、順調に行われており、次年度以降、新生児の測定をするべく準備をしている。 本研究は、『可聴域以外の音域をカットしたCDが人間にとって不快感を増大させる(大橋、仁科他・1991.10)』とした先行研究が、果たして本当にそうであるのか、また胎児、新生児にも当てはまるのか、さらに胎教の音楽としてどのような手段が有効なのかを検証することによって、新生児の脳の発達への影響に音楽が深くかかわっていることを実証しようとするもので、重要で意義深いと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)NIRSの装着に関して、特に新生児の安全性を配慮し、慎重にテストを繰り返しているため。(2)新生児用のブローブを装着するバンドがなく、また、最近の新生児は小さい傾向があり、当初作成したブローブが新生児測定に困難をきたすと考えられる。そのため、種々の材料を使って、新生児にとって安全で、より正確に計測できるような装置の開発を試みながら行っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
音楽的胎教を実施している妊婦の出産が4月以降順次あるので、新生児に対してNIRSでの測定を行っていく。ただ、研究計画に記載した中で、音楽的胎教に関心の高い妊婦A群中、胎教時に生の歌声や、演奏を聴かせる群A-1と、CDを聴かせる群A-2に分けずに、A群すべての妊婦に、生の歌声、生のオルゴールおよびCDを自分で選択してその1種または複数種聴いてもらうこととした。これは、いずれかをこちらが決めた場合、その種類による胎児への影響に差があったときに、問題となる可能性があることを考慮したためである。 また、出産後の測定時期を、生後1か月、12か月、24か月として計画したが、24か月の幼児にNIRSを装着することが極めて困難であることが判明したことから、24か月のNIRSの測定は中止とし、変わって、生後1か月、6か月および12か月の時期に、協力していただいている産婦人科に定期検診に来院した母子に対してNIRS測定およびアンケート調査などを実施することとした。また、24か月以降の幼児に対する追跡調査は、母親へのアンケートなどによって継続することとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として、光イメージング脳機能測定装置用センサーバンド製作用材料代、粘着パッドなどの購入費。fNIRS Data Viewer(DVD)および解説書の購入。 旅費として、国際幼児教育学会、全国大学音楽教育学会、日本音楽教育学会などでの発表のための参加費および交通費・宿泊費。群馬大学での研究打ち合わせ会議のための交通費。 その他、測定補助及び資料整理分析にかかわる協力者の人件費。測定協力者(被験者)への謝金などに研究費を使用する計画をしている。
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