2013 Fiscal Year Research-status Report
教員養成の「質保証」システムの歴史的検証-イギリスにおける地域教員養成機構
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23531086
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
高野 和子 明治大学, 文学部, 教授 (30287883)
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Keywords | 教員養成 / 「質保証」 / 地域 / 大学 / 地域教員養成機構 |
Research Abstract |
1 第二次世界大戦後の教育改革期から1970年代末まで、イギリスでは、教員養成の内容については、大学を基盤として組織された地域教員養成機構(ATO = Area Training Organizations)が責任を持っていた。今日的な用語を用いるなら、ATOは教員養成の「質保証」システムであったといえる。本研究はこのATOがどのような制度であり、実際にどう機能したのかを歴史的に検証することを目的とする。 2 (1)本年度は、ATOが法令上廃止された1975年前後について、主として教員養成・供給審議会(ACSTT=Advisory Committee on the Supply and Training of Teachers 教育科学大臣の下に設置された)の議事録や資料類を収集し、廃止を前にした時期において“ATOが果たしている機能をどこにどのように移転すればよいのか”が集中的に議論されていた状況を把握した。機能不全による衰退・廃止という状況ではなかったことを示唆すると考えられる。また、後にCATE(Council for the Accreditation of Teacher Education)の初代議長となるWilliam Taylor氏の同審議会における立場・発言を確認した。 (2)ATOは「質保証」システムであったが、それは、地域レベルで関係者(大学、教員養成カレッジ、地方教育当局、教員等)を組織し、相互の連携・調整の基盤となるものでもあった。ATO廃止以降今日まで、地域レベルで法令上の制度は存在してこなかったが、実際の現場では教員養成の様々な連携の形が作られてきた。複数の学校と大学でつくるLondon East Teacher Training Allianceの大学側であるUniversity of Cumbriaを訪問し大学の立場についてインタビューした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付申請書では対象期間を「1960年代から1970年代末」としていたが、調査対象を初期のATOにあたる1950年代、及び1984年のCATE設立期までと、前後に拡げて「1960年代から1970年代末」の意味を確定しようとしたため、それに伴い作業が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる2014年度は (1)補足的な資料収集を行う。 (2)これまでに収集・整理した資料、作成した図表などを利用しやすくまとめる。 (3)(2)を用いて、ATOの設立から廃止までを通覧できるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2014年3月のイギリスへの資料調査に関わる費用について、多くの部分が2014年4月以降の処理扱いとなったため。 インタビュー録音のトランスクライブではなく文献資料が中心となった点を補うため、教育史関連の重要文献を入手する。また、2014年3月の調査で未完となった作業について、イギリスでの補足的調査を行う。 最終まとめのために、画質が悪かったり、手書きのままになっている図表について、トレースや電磁媒体化を依頼する。また、法令、ATOのConstitutionなど、正確な翻訳が必要なものについて、校閲・翻訳を依頼する。
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Research Products
(1 results)