2013 Fiscal Year Annual Research Report
米国の州と市長による教育行政の包摂と学校民営化政策の導入に関する調査研究
Project/Area Number |
23531087
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小松 茂久 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50205506)
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Keywords | 教育統治 / 教育民営化 / ニュー・パブリック・マネージメント |
Research Abstract |
3年の研究計画の最終年度である平成25年度では、米国の主要都市における市長主導教育改革の特質と評価に関して重点的に取り組んだ。その結果、市長主導教育改革の導入の背景、市長による直轄管理の多様な形態、市長と教育委員会との権限関係の変質について検討を加えた。さらに、主要都市における直轄管理の形態の多様性には、都市や州の政治的、経済的、社会的な状況、市長の教育問題へのスタンス、教育関係者の市長への向き合い方などが強く影響していることを明らかにした。 先行研究では市長主導教育改革の特徴の一つとして教育民営化政策を指摘している。平成25年度では、教育における民営化の概念整理を行い、1990年代半ば以降の教育の外部委託の概要を理解し、外部委託先である営利・非営利の教育管理組織(EMO)の実態と課題について検討した。さらに、外部委託の是非に関する実態と理論に加えて、公設民営学校の今後の展開可能性について考察を加えた。要するに、学校教育の民営化について検討することで、米国都市部の教育困難校を改革する方途として、新たな教育統治構造の創出可能性があるのか否かを予測する作業に従事し研究成果を公表した。 今後の研究課題として、これまでの米国の市長主導による教育改革が教育民営化や新たな教育行政手法としてのニュー・パブリック・マネージメントにあるとするならば、これらの教育関係者ならびに教育官僚の主導による教育改革から政治家主導の教育改革への転換によって教育政策の新展開が予測される。この点は、米国のみならずわが国においても妥当性を持つのか否かについて重要な検討課題となり、平成26年度以降においてはこの研究課題に取り組むことになる。
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