2012 Fiscal Year Research-status Report
総力戦体制と「国民保育」―末期「保育問題研究会」による国策への〈抵抗〉と〈協力〉
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23531090
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Research Institution | Chubu Gakuin University |
Principal Investigator |
浅野 俊和 中部学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (00300351)
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Keywords | 雑誌『国民保育』 / 『国民保育のために』 / 保育案 / 農繁期託児所 / 川崎大治 |
Research Abstract |
平成24年度も、前年度に引き続き、「保育問題研究会」(以下「保問研」と略記)の機関誌『保育問題研究』及び『保育問題研究会月報』(いずれも『保育問題研究・児童問題研究』復刻刊行会編『保育問題研究・児童問題研究(第4巻-第7巻)』(白石書店、1978年)として復刻)、保育問題研究会編『国民保育のために』(帝国教育会出版部、1942年)に掲載されている論稿・記事で触れられていない状況(特に、会員個人による研究活動)を探るため、関係する文献の調査・収集を精力的に行い、「保問研」末期における活動とその「国民保育」論の輪郭を把握した。また、その研究成果の中間報告の公表も行った。具体的には、次のような作業を進めた。1)国民保育協会が編集していた『国民保育』誌の調査・収集を行い、そこへと掲載された「保問研」会員の論稿に関する分析を試みた。2)収集した文献などの分析を進め、関連学会において、「機関誌『保育問題研究』休刊前後における『保育問題研究会』――雑誌『国民保育』を手がかりとして」(社会事業史学会)及び「戦時下「国民保育」論の思想と構造――保育問題研究会編『国民保育のために』(1942年)を手がかりとして」(日本ペスタロッチー・フレーベル学会)、「末期『保育問題研究会』における保姆会員の思想と行動―― 保育雑誌『国民保育』を手がかりとして」(幼児教育史学会)、「総力戦体制下の『幼児文化』――保育雑誌『国民保育』を手がかりとして」(日本児童文学学会)といった口頭発表を行った。3)研究成果として、論文「保育問題研究会による保育案研究――機関誌『保育問題研究』から雑誌『国民保育』への発表媒体の移行を踏まえて」(『幼児教育史研究』)、同「童話・紙芝居作家 川崎大治の農繁期託児所論――日中戦争・太平洋戦争下の3冊の著書を中心に」(『中部学院大学・中部学院短期大学部研究紀要』)を執筆・投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の計画は、関係する文献の調査・収集を精力的に行い、「保育問題研究会」末期における活動とその「国民保育」論の輪郭を把握し、その研究成果の中間報告の公表も行うとした。そうした計画については、「研究実績の概要」でも記したように、おおむね順調に進展をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成24年度における成果を踏まえ、末期「保育問題研究会」の活動を支えた部会チューターである浦辺史や三木安正らの保育思想・保育理論に絞る形で、彼らが主張していた「国民保育」論の形成・変容過程を追い、歴史的特質や矛盾構造について分析する。また、その研究成果の報告の公表も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、文献調査の旅費及びその複写代、史料の復刻版などの図書購入費、研究成果取りまとめの印刷・製本費として使用する計画である。
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Research Products
(7 results)