2011 Fiscal Year Research-status Report
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23531140
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
浦田 広朗 名城大学, 大学・学校づくり研究科, 教授 (40201959)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 私立大学 / 公共性 / 高等教育 |
Research Abstract |
本研究は、我が国の私立大学に投入される資源を示す財務データ(特に収入データ)とアウトプットを示す教育・研究の成果データを広く収集・分析し、私立大学が如何に「公」に支えられているか(あるいは支えられていないか)、私立大学の教育・研究の成果が如何に公共性を有しているか(あるいは有していないか)を実証的に明らかにしようとするものである。その際、私立大学についてのみ分析するのではなく、広く国公立大学についてもデータを収集し、私立大学との比較分析を行うこととしている。 このような目的の下、23年度は、大学の公共性について、複数の学問分野の視点から理論的検討を行うとともに、私立大学および国公立大学の財務データ、入学・在学・卒業(進路)データ、受託研究データを中心にデータベースの整備を進めた。また、それぞれの地域社会に対して私立大学が実際に果たしている公共的機能を把握するために、3市3校を訪問してインタビュー調査を実施し、関係資料・情報を収集した。 初年度であるため、まだ十分な成果は上がっていないが、これまでに構築したデータベースから可能な限りの分析を進めた。特に、大学の公共的機能の重要な要素である地域教育機会の均等化に対して私立大学が果たしている役割、および、それら私立大学を支える政府支出の役割について、私立高等学校と比較して明らかにした論文「高校進学と大学進学に対する政府支出の役割」を取りまとめ、後掲「研究発表」欄に示した図書において公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
公共性についての理論研究は、教育社会学、教育法学、財政学、経済学の視点から進める計画であったが、経済学の視点すなわち私立大学が地域経済に対して果たす役割についての理論的研究が今のところ不十分である。他の視点については計画通りに進んでいるが、そもそも現代社会において公共性をどのように捉えるべきかという社会哲学的視点についても考察を深める必要がある。 現地調査の対象として訪問した大学は当初計画の4校には至らなかったが、訪問した3校からは、関係者の協力により、想定した以上の資料・情報を得ることができた。 データベース構築については、大学の財務データ、入学・在学・卒業(進路)データ、研究論文(引用)数・発明(特許)数・受託研究データについて進める計画であったが、論文(引用)数・発明(特許)数についてのデータ入力が難航している。学問特性を考慮しつつ、大学単位での分析が可能な形となるよう検討作業を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
公共性についての理論研究については、広く文献を収集して推進するとともに、教育関係学会のみならず、日本社会学会、数理社会学会など社会哲学についての議論をなし得る学会の大会・研究会等に参加し、考察を深めていきたい。 データベースの構築とその分析については、ドキュメントスキャナー等の活用により、一層の効率化を図るとともに、統計処理ソフトウエアを活用して、精緻な分析を進めていきたい。 インタビュー調査を含む現地での資料収集については、大学がそれぞれの地域社会において果たす役割を考慮し、4市5大学を訪問して進める計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費は、理論研究に不可欠な図書に加えて、より高度な分析を可能とするための統計処理ソフトウェア、デジタルデータの整理・保管のためのデータ記録用ブルーレイおよびDVD、紙媒体データの整理・保管のためのバインダーおよびクリアファイル等に使用する。 旅費は、上記の現地調査のための国内旅費が必要であり、外国旅費は必要としない。 謝金については、計画調書では資料整理・データ入力に400千円を予定していたが、高性能のドキュメントスキャナー導入により手入力作業が大幅に軽減されることが明らかになり、かつ、どうしても手入力にが必要な部分については、信頼度の高い入力業者への委託が可能となったので、研究補助者への謝金は削減したい。 その他としては、複写費・通信費に加えて、上記データ入力業者への支払いを計画している。
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Research Products
(1 results)