2012 Fiscal Year Research-status Report
ドイツの音楽科における思考・判断能力の育成に関する研究
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23531181
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中島 卓郎 信州大学, 教育学部, 教授 (20293491)
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Keywords | ドイツ / 音楽 / カリキュラム |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続きベルリン州の教育大綱について、指導内容とその発展性に着目して詳細に整理を行った。対象としたカリキュラムでは、活動領域に「音楽について熟考すること」が設けられている。そこでは、人間あるいは自己にとっての音楽の存在意義、生活における音楽、歴史的な文化遺産としての音楽などについての思考が求められ、自己認知および他者認知が促進されている。 また、カリキュラム構築の際の到達目標について明らかにするために、ドイツの最大の特徴となっているアビトゥア(音楽/大学入学資格試験)の問題作成におけるドイツ国家基準および実際の試験問題の内容にについて詳細に調査した。 そして、実際の授業および生徒たちの実態を調査するため、2回の渡独を行った。対象校は音楽重点コースを有するGeorg-Friedrich-Haendel-Oberschule(musikbetontes Gymnasium)およびDroste-Hueshoff-Schule (Gymnasium) である。普通コースの第7学年、第8学年、および音楽重点コースの第12学年の授業視察、第12.13学年生による卒業演奏会を視聴した。第12学年の授業は、A.シェーンベルクの『ワルシャワの生き残り』を教材とした「音楽について熟考する」内容であった。アビトゥア試験を控えている第12学年の授業として特に細かく分析した。また音楽担当教諭 Mirko Siegel, K Michael Riedel, Kirsten Gatemann諸氏からは長時間に及ぶインタビューにより調査を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際の授業および生徒たちの実態を調査するため、当初予定していた2回の渡独を行った。対象校は音楽重点コースを有するGeorg-Friedrich-Haendel-Oberschule(musikbetontes Gymnasium)およびDroste-Hueshoff-Schule (Gymnasium) である。生徒たちの卒業演奏会および異なる学年・コースの授業の視察、関係諸氏へのインタビュー等も加えて充実したものとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究のまとめとしてドイツの音楽科カリキュラムが求めている「思考・判断能力」について詳細に明らかにしたい。調査・分析を進めていく中で課題・問題点をさらに浮き彫りにし、25年度11月には再度渡独し授業視察等により解決へ向けて研究を進めていきたい。 この指導内容の広がりと発展性について明らかにすることは、我が国のカリキュラムのへの問題提起につながるものと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画していた現地調査(ドイツ)の一部をH25年度に持ち越したことに加えて、消耗品が予定よりも安価に購入できたため未使用額を生じさせた。この未使用額とH25年度請求額を合算し、現地調査渡航費、研究成果発表旅費、資料収集や調査結果のまとめに必要となる物品の購入に充てる予定である。
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