2011 Fiscal Year Research-status Report
鑑賞の授業における構造主義モデルの再吟味と社会文化論的アプローチによる再構築
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23531197
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
小川 容子 鳥取大学, 地域学部, 教授 (20283963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 真由美 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (30301823)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 鑑賞リテラシー / 授業モデル / 領域固有の知識 / 音楽語彙 |
Research Abstract |
平成23年度は,小学校の児童・生徒に求められる鑑賞リテラシー力を獲得させるための「教授方略の理論的な枠組みづくり」の準備段階と位置づけた。そのため,(1)B. Reimerが提唱・編纂した音楽教科書の収集(主に米国)をはじめ,多様な様式の音楽や美術を統合的に学習させるため科学概念を模したカリキュラムづくりに関連する国内外のさまざまな資料収集と,(2)教授方略の開発のための具体的な授業モデルづくりを並行しておこなった。 授業モデルづくりに関しては,(1)鳥取県内の小学校を対象に実施したアンケート調査によって鑑賞活動の実態を明らかにしつつ,(2)調査対象校との協力のもと,鑑賞作品の選定とその聴かせ方や指導言について協議をおこない,(3)具体的な授業モデルとして明示できるよう検討を重ねた。その結果,授業の開始直後に5分~10分程度の鑑賞活動を毎回とり入れ,その都度「ワークシート」を教師⇔子ども間でやりとりすることにより,継続的な鑑賞指導を定着させることができた。作成した「ワークシート」には,子どもたち自身の気づきを記入させると共に,教師がそれに対するコメントを書き込み,次授業で子どもたち全員に指導・共有するという工夫をおこなった。一連の鑑賞活動を繰り返す中で,子どもたち一人ひとりが持つ内的な領域固有の知識が少しずつ共有されていくことが確かめられ,音楽語彙の定着と増加の現象を確認することができた。また,作品のモチーフがどのように発展しているか,テーマがどのように繰り返し,発展・変化しているか,その当時の芸術様式とどのような関連があるのか等,楽曲の表層から深層へと鑑賞を発展させる教授方略の有効性についても検討中であり,より包括的なカリキュラムとして明示できるよう協議を繰り返している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)B. Reimerが編纂した音楽教科書(米国・シルバーバーデット社,指導書つき)の収集をほぼ終えた。(2)授業モデルづくりの中で提案した「ワークシート」の作成・運用についてはほぼ達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)米国・シルバーバーデット社の音楽教科書の内容分析とおこない,並行して芸術関連教科を統合的に学習させるためのカリキュラムづくりに寄与できるよう他教科との関連性について理論的な分析を進める。(2)授業実践者と研究者,研究協力者の連携を深めながら授業モデルの具体的な提案のための検証授業を重ねる。あわせて,音楽鑑賞リテラシー力の向上を支援する新音源・新教材の作成・改良と双方向型のIT端末機器の開発をおこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)授業モデルの具体的な提案並びに,新音源・新教材の作成・改良のための国内外の研究者たちとのうちあわせ旅費(2)双方向型のIT端末機器の開発経費・謝金
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