2012 Fiscal Year Research-status Report
持続発展教育の観点を踏まえた地球惑星科学分野での新しい実験・実習・演習教材の開発
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23531214
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
根本 泰雄 桜美林大学, 自然科学系, 准教授 (30301427)
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Keywords | 小学校 / 中学校 / 理科 / 地球惑星科学 / 実験・実習・演習 / 地震 / 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震 / 宮城県 |
Research Abstract |
研究テーマを3種類に大別し研究を遂行した. (1) 教科書分析と授業実践研究:中学校第1~3学年にて平成23,24年度に使用されている「理科」の全教科書(5種類/学年)に第2分野として掲載されている地球惑星科学と関係する実験・実習・演習のうち,今年度は地震と関係する内容に焦点をあて,教科書間の相違を比較検討した.さらに,旧課程の教科書とも比較を行った.その結果,新課程の教科書となっても基本的な内容として演習課題に相違は無く,引き続き実験と呼べる内容は取り扱われていないことが判明した.そこで,キッチン地球科学の精神に基づき,これまで提案してきた地震に関わる実験のうち,中学校での実験として使える教材を選び,中学生向けに改良を行った.さらに,新教材の開発も研究協力者と試みた.あわせて,改良・開発した教材の一部を用いた授業実践研究を中学校3年生を対象として1校3クラスにて行った.その結果,提案した教材は改善の余地が残るものの,概ね理解を助ける教材として有益であることが判明した. (2) 理科教育・安全教育の充実を目指すための被災地におけるアンケート調査と教科間との連携:2011年度に実施した宮城県北部教育事務所管轄内大崎地区と気仙沼市とにある公立の小・中学校を対象としたアンケート調査の分析を進めた.あわせて,「生活科」や「社会科」,「保健科」で行われている地震に関する安全教育と「理科」との関係を分析し,「理科」にて取り扱われていない内容であるが取り扱うべきと考えられる内容の抽出を校種別に行った.分析は現在進行中であるが,教科間の連携に対する課題を明確に出来た. (3) 地震被害の教材化に向けた資料収集:2011年度に引き続き,主として宮城県を対象に地震被害と復興・復旧の様子とを「理科」の視点から教材化することを試みるため定期的に定点観測を行い,教材作成のための資料収集を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
9.研究実績の概要に記した(1)に関して,京都大学防災研究所共同研究特定研究集会およびIT強震計研究会にて研究発表を行ったが,著書や論文の形では公表が済んでいないことによる. (2)に関しては,震災による放射線量に関わる調査結果も加える必要があると判断し,学校での放射線量の測定に関するまとめを優先して行ったことから,まとめが遅れていることによる.ただし,放射線量に関する成果は2012年度に発行された“桜美林論考『自然科学・総合科学研究』”に掲載された.(3)に関しては,(1)から派生した内容であり,現時点では概ね順調に進展している.なお,(1)と(2)とに関係した結果の一部は,(公社)日本地球惑星科学連合2013年大会にて招待講演で発表予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
小・中学校向けのレシピ作成を引き続き進めると同時に,平成24年度から新学習指導要領にて「地学基礎」の授業が開始された高等学校「地学基礎」の教科書分析を小・中学校の教科書分析と同様に進めていく.また,小・中学校「理科」教科書分析からの取り組みと同様に,キッチン地球科学の精神に則った高校生向け教材の提案を行い,一部は授業実践研究を行う予定である.アンケート調査結果に関しては,より詳細な分析を実行し,結果に基づく地震の安全教育への反映案を提案する.あわせて,被災地を題材とした教材化を進めるため,定期的に定点観測を行い,研究をまとめる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述した研究の推進には,教材開発に必要となる実験素材などを購入するための消耗品費が引き続き必要である.被災地の定期的な定点観測を行うためにも旅費・交通費が必要である.また,学術学協会大会での発表を含む成果の公表に要する旅費・交通費も必要である.旅費節約のため,通常はML等を活用して研究協力者と議論を進めているが,開発した教材を前にした議論は不可欠であるため,研究打ち合わせや研究会を開催するための旅費・交通費も欠かせない.
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Research Products
(12 results)