2013 Fiscal Year Research-status Report
大学教育における高度熟練技術伝承法を活用した学習カリキュラムの開発
Project/Area Number |
23531244
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松原 幸夫 新潟大学, 産学地域連携推進機構, 教授 (20401771)
|
Keywords | 暗黙知教育 / 徒弟制度 / 高度熟練技術 / 伝承 / デュアルシステム / 大学教育 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高度熟練技術分野における人材育成法を活用した教育カリキュラムを開発することにある。 平成25年度は、日本および欧州の「先進企業」の専門職人材育成法、ならびに大学および専門学校における専門職人材育成教育の特性について調査研究した。 日本および欧州の伝統的な技術伝承法が「守、破、離」等に見られる職人遍歴プロセスをもち、極めて類似した形で行われてきたことを検証し、そのような学習法の意味について考察した。 平成25年度の研究実績の概要は次のとおりである。 ①2013年5月16日および5月23日:新潟市立内野中学校において、「もしも内野の町をどんな町にでもできるとしたら」というテーマで、午後の総合学習の時間にワークショップを実施した。②2013年6月21日:徳島大学において、暗黙知教育「感性の磨き方」というテーマで、講演とワークショップを開催した。同日、同大学教職員とFD討論会を開催した。③2013年9月:新潟大学主催の「夢立国プロジェクト」におけるワークショップの企画に参画した。④2013年12月6日:日本知的財産協会関東支部において、「これからの知財人材の育成~暗黙知経営の視点から考える~」について講演とワークショップを行った。⑤2013年12月14日:日本知財学会において「アベノミクスを解明する~暗黙知経営から見た知財八策~」というテーマで発表した。⑥2014年2月1日:新潟市東区まちづくり講座において「東区のまちづくり」というテーマで、10年後のまちづくりのあり方についてワークショップを行った。⑦2014年2月22日:新潟大学社会連携フォーラムにおいて「夢のもつ力について」というテーマで人材育成法について公開討論会を開催した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本および欧州の「先進企業」における専門職人材育成法については、2014年2月22日に公開討論会で、土屋元彦氏、三宅洋一郎氏、中里良一氏、小林一夫氏にヒアリング調査を行った。教育機関については、2013年6月に徳島大学三宅洋一郎教授と暗黙知教育について情報交換を行った。企業では、2013年6月にはDMG 森精機株式会社から、8月には日本政策投資銀行調査部から、各々ドイツメーカーの人材育成と知的財産ポリシーについてのヒアリングを受けるとともに、ドイツのものづくりの最新動向について意見交換を行った。 上記調査の他、日本および欧州の伝統的技術伝承法について文献調査を行った。これらの研究成果に基づき学会やセミナー等で、人材育成カリキュラムの構成原理を提示した。 平成25年度は、上記のとおりほぼ順調に調査研究は進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は、現在最先端技術分野において高度な熟練技術を保有し先進的な取り組みをしている企業の人材育成のベストプラクティスを大学教育に導入するだけでなく、日本および欧州の16世紀以降の伝統的な技術伝承の在り方等も検証しながら、わが国の今後の研究開発や技術伝承における人材育成のあるべき姿と理念を明らかにし、その理念を踏まえた上で、今後の日本の企業や大学における専門職の人材育成法を再構築することを目指すものである。 平成26年度は、平成25年度に実施した検証授業で得られた大学教育のカリキュラムに援用する枠組みと構成原理に基づき、研究課題に対応した指導内容として明確に位置づけ、学習のための原理として提示する。前年度の成果と課題を把握した上で改善策を検討し、徳島大学の共通教育および同大学院の研究室において、上記構成原理に基づく検証授業を実施する。26年度も引き続き専門職人材育成のヒアリング調査を実施する。ヒアリング対象先として国内の「先進企業」3社、欧州の「先進企業」1社、伝統技法関連団体1団体、教育機関2団体を予定している。 上記検証授業を受けて、カリキュラムの成果と課題を整理し、大学教育における専門職人材育成カリキュラムとしてまとめ、大学教育で機能する専門職人材育成カリキュラムとして提示する。研究成果については、「日本知財学会」等の関連学会で発表し、学術雑誌に論文として投稿し、また「知財ゼミナール」等で報告書として印刷し、大学や研究機関に公表配布する。また英語論文として学術雑誌にも投稿する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(未使用額が発生した状況) 最終年度の平成25年度は、本研究の追加実証実験およびカリキュラムの評価を行い、研究成果を取りまとめる予定であった。しかし、イノベーション創出のワークショップにおける対話ツールが必要となったため、これまでの研究成果に基づき新たな対話手法を開発した。さらに、このための手法の評価・分析および追加の検証ワークショップを行ったので、当初予定した研究が先送りとなり、未使用額が生じた。 (次年度における未使用額の使途内容) 上記理由により、実証実験およびカリキュラムの評価を次年度に行うこととし、未使用額は実施に伴う物品費、旅費、謝金等の経費に充てることとしたい。
|
Research Products
(12 results)