2013 Fiscal Year Annual Research Report
ホリスティックな立場からの教材・授業開発に関する研究
Project/Area Number |
23531263
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
下田 好行 東洋大学, 文学部, 教授 (70196559)
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Keywords | ホリスティック / 垣内松三 / 形象理論と自証体系 / ルドルフ・シュタイナー / 人智学思想 / 宮澤賢治 / 法華経 / 思考と直観とのつながり |
Research Abstract |
ホリスティックな立場からの教材・授業開発を研究した。ホリスティックを思考と直観とのつながり、自己と社会とのつながり、自己の表面意識と霊性(宇宙意識)とのつながりと捉えた。具体的な研究の形としては、思考と直観とのつながりは、垣内松三の自証体系とその授業実践の研究、シュタイナーの人智学思想を色濃く反映したシュタイナー学校の教材・授業開発の研究、法華経の宇宙観に彩られた宮澤賢治の教育観・授業観の研究を通して行った。 垣内松三は文字の連なりの奥にある人間の相(象徴)の存在を強調する形象理論を提唱した。そして、自己の直観を自分で証明する自証体系を読みの理論とした。これを教育実践として具体化したのが芦田恵之助であり、最近では青木照明である。青木照明の小学校国語の読みの実践(やまなし)では、児童が自己の直観に言葉を与え、自分の直観に自分の解釈を与えていく様子を確認できた。 ルドルフ・シュタイナーの人智学思想の影響を受けた教材・授業開発としては、ベルリンのシュタイナー幼稚園での保育参観、シュタイナー学校の授業参観から研究を行った。シュタイナー幼稚園では、子どもの内面の深層にある意識がどう顕現していくかを重視しており、そのために保育の観察も教師や大人が子どもに影響を与えないように留意されていた。この部分が人間を体・魂・霊で捉える、シュタイナーの人智学思想の表れであると考える。 宮澤賢治の教育観・授業観では、教科書を使わない授業、学問を実際的な問題に置き換え、日常現実社会に引き寄せて解釈を行うこと、体験や実習を重んじ体にしみこませる授業を行う。演劇と音楽による芸術の表現を通して教育を行ったことなどが抽出できた。これらはの授業観・教材観の背景には、賢治の信仰する法華経の思想が根本にあることも確認できた。
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Research Products
(15 results)