2011 Fiscal Year Research-status Report
学齢期の言語・コミュニケーション支援ニーズの類型化に基づく就学前プログラムの構築
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23531279
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
大伴 潔 東京学芸大学, 教育実践研究支援センター, 教授 (30213789)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 特別支援教育 / 学齢児 / 言語発達 / コミュニケーション / アセスメント / 指導目標の設定 / プロフィール化 / 言語指導 |
Research Abstract |
学齢期の言語スキルを評価する枠組みを新たに構築するために、昨年度まで我々が蓄積してきた定型発達児童340名のデータに基づき、課題間の相関を再分析することによって、以下の5つの言語領域に課題を再構成した:1.文や文章の聴覚的理解(下位検査「口頭指示の理解」「聞き取りによる文脈の理解」)、2.語彙や定型句の知識(「語彙知識」「慣用句・心的語彙」)、3.発話表現(「文表現」「対人文脈」)、4.柔軟性(「柔軟性」)、5.書記表現に関するスキル(「音読」「文章の読解」「音韻意識」)。これにより、児童一人ひとりの長所と課題を領域別にプロフィール化し、支援ニーズをより的確に類型化することが可能になった。また、幼児期からの縦断データに基づき、学齢児において顕在化するであろう支援ニーズを幼児期における言語・コミュニケーション面でのプロフィールから予測する指標を明らかにするために、幼児期の言語・コミュニケーションデータの収集に着手した。幼児期の実態については、LCスケールを用い、語彙、語連鎖・統語、語操作・談話、音韻意識、コミュニケーションの5つの側面で評価を行っている。本年度は、3歳児17名、4歳児13名、5歳児4名のデータを収集した。これら幼児期データの対象となった子どもは、2年後、学齢期に入った段階で学齢児用の評価法で再度アセスメントを行い、幼児期と学齢期でのプロフィールの関連性を検討する予定である。さらに、国内外の支援プログラムを体系化し、就学移行期における言語・コミュニケーション支援のプログラムを構築するために、英語圏の言語支援研究を収集した。今後も継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は、学齢児のアセスメント結果からプロフィール化を行うための5つの大領域の柱立てを統計的解析を活用して行うことができた。また、幼児期のアセスメント結果を34名から収集することができ、2年後の展開の足場を作ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
学齢期における支援ニーズの類型化(目的1)については、分析作業を継続するとともに、通級指導教室で支援を受けている児童のデータも含めて検討していく。学齢児において顕在化する支援ニーズの予測指標の同定(目的2)については、24年度も、典型発達を示す幼児や言語・コミュニケーションや発達全般で気がかりがあるという訴えを保護者や幼稚園・保育園から得た幼児を対象として、言語発達アセスメントを実施する。就学移行期における言語・コミュニケーション支援プログラムの構築(目的3)については、文献的な検索およびプログラムの体系化を継続する。研究計画の変更はない。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費としては、アセスメントに要する記録用紙や分析ソフトの購入や、文献等の資料収集に充てる。主に学会発表に旅費を使用し、データ分析のために謝金を活用する。
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Research Products
(3 results)