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2012 Fiscal Year Research-status Report

高機能自閉症幼児における情動理解・情動表出とアタッチメント対象形成との関連

Research Project

Project/Area Number 23531288
Research InstitutionGifu University

Principal Investigator

別府 哲  岐阜大学, 教育学部, 教授 (20209208)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 水野 友有  中部学院大学, 子ども学部, 准教授 (60397586)
Keywords自閉症 / 情動理解 / 情動調整 / 社会性 / アタッチメント
Research Abstract

今年度の成果は、以下の三点である。
一つは、高機能自閉症児における表情表出の研究である。高機能自閉症幼児群と、発達年齢を一致させた対照群に、言語指示にしたがって「喜び」「悲しい」「怒り」という3つの表情表出を行わせ、写真を撮った。写真としては、表情表出を求めないニュートラルな写真もあわせて撮影した。その結果、高機能自閉症幼児群は対照群と同様に、3つの表情表出はいずれも表情評定尺度(FACE)によれば、「喜び」以外は適切な表情表出にはなっていないこと、しかしニュートラルも含めた4枚の写真の中でそれぞれの表情を弁別することは可能であることが示された。この課題は情動の意識的処理を必要とする。よって、高機能自閉症幼児は、就学前においてすでに情動の意識的処理は一定程度可能であることが示された。
二つは、高機能自閉症幼児での自己表情理解の研究である。上記と同じ高機能自閉症幼児群と対照群に、自己表情の弁別実験を行った。その結果、高機能自閉症幼児も対照群と同様、チャンスレベルより有意に高い確率で、自己表情を弁別できることが明らかとなった。
三つは、情動の自動的処理の困難が他の心理的機能(孤独感)に影響を及ぼしている可能性についての検討である。定型発達児は孤独感を物理的孤独感(例:友達がいない)と心理的孤独感(例:一人でいるときに寂しい)の両面で孤独感を感じるのに対し、高機能自閉症児は、物理的孤独感を感じることができるが心理的孤独感を感じにくいこと、それは情動の自動的処理の障害による情動共有経験の少なさによることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

理由は大きく、以下の三つを挙げることができる。
一つは、上記の「研究業績概要」で示したように、特に情動表出について、情動の意識的処理が、就学前の時期でも可能であることを示したことに依っている。高機能自閉症児の場合、情動理解の研究は一定進展しつつも、情動表出についてはこれまで十分検討されてきていない。それは、就学前の幼児の場合はなおさらである。そこについて、一定程度の結果が出せたことがまず挙げられる。
二つは、まだデータの数が十分ではないが、情動の自動的処理についての研究が進行していることである。表情表出ビデオを作成し、それを見ている際の自動模倣のデータを収集中である。なお、自動模倣については、運動の自動模倣も含めることで、他の簡便な指標(あくびの自動模倣)についても現在検討している。
三つは、情動調整に困難を示す(他者や自己の情動が理解できない、あるいはいったん情動的に興奮するとそれをうまく抑制できない)事例の、情動理解、情動調整、そしてアタッチメントの関連を事例のエピソードによる分析が進行していることである。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の推進方策
今年度については、以下の点を重点的にすすめていく。
一つは、情動の自動的処理についての研究である。就学前の高機能自閉症幼児と、発達年齢・生活年齢を対応させた統制群を対象に、表情を表出するビデオを見て、その後でビデオの表情を模倣させる(情動の意識的処理)課題を行っている。ただこの実際分析する指標は、ビデオ視聴後ではなく、ビデオ視聴中における、表情や動作の自動模倣(情動の自動的処理)である。これについての十分な量のデータを収集し、分析を行う。
二つは、事例を通して、アタッチメントと情動理解、情動表出、情動調整の関連を検討することである。分析対象となる事例のエピソード抽出は行っているので、その関連づけとモデル化を行うこととする。
三つは、上記二つとこれまでの研究を総合して、高機能自閉症児における情動理解・情動表出とアタッチメント対象形成の関連について、仮説的モデルと、それに基づく支援のあり方についてまとめることとする。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

本研究は今年度においてもいずれの点も、多くの実験補助、資料整理を必要とし、そのための謝金は必要となる。また、実験資料収集においては、DVD記録が重要となり、消耗品も必要である。加えて研究成果発表するための、国内旅費などが必要となる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] コミュニケーションとしての発達障害2012

    • Author(s)
      別府哲
    • Journal Title

      臨床心理学

      Volume: 12 巻 Pages: 652-657

  • [Journal Article] Loneliness in children with high functioning pervasive developmental disorders2012

    • Author(s)
      Kayo Nomura, Satoshi Beppu, & Masatsugu Tsujii
    • Journal Title

      Japanese Journal of Special Education

      Volume: 49(6) Pages: 645-656

    • Peer Reviewed
  • [Book] 乳幼児の社会性・情動発達の障害と支援:自閉症児における研究より(日本発達心理学会[編]発達と支援 所収)2012

    • Author(s)
      別府哲
    • Total Pages
      362(担当分142-155頁)
    • Publisher
      新曜社

URL: 

Published: 2014-07-24  

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