2011 Fiscal Year Research-status Report
広汎性発達障害のある学生への就労支援‐インターンシップの効果‐
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23531301
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
北添 紀子 高知大学, 教育研究部医療学系, 講師 (70284437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 信一 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 教授 (00346701)
平野 晋吾 高知大学, 教育研究部人文社会科学系, 研究員 (90571654)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 広汎性発達障害 / 就労支援 / インターンシップ / 職業イメージ |
Research Abstract |
本研究は、広汎性発達障害の疑われる大学生に対する就労支援のワンステップとして、 学内でのインターンシップでの経験とそのフィードバックが、職業意識の形成につながるかどうかを検討するものである。 大学内の参入企業である大学生協で、短期間のインターンシップを計画実施した。インターンシップでは、複数の職種の体験ができる、就業状況が把握できる、現場で援助ができる、具体的な場面を基に面接ができるように計画をした。インターンシップ前の学生との面接で、学生が強く苦手意識を持っている職種は避けるようにした。また、学生の特性によりインターンシップ中に困難が予測されることは、学生の了解を得て、インターンシップ先に伝えた。インターンシップの第1日目終了後には、学生、担当者で振り返り面接を行い困難となることはないか検討した。 学生に対しては、インターンシップ前後に、面接、テスト(VIT職業興味テスト、VRT職業レディネステスト、自尊感情尺度など)を行い、職業の興味、適職とのマッチング、職業意識や職業に対する変化を検討した。ケースごとにインターンシップ前後のデータをもとにインターンシップの効果を検討した。参加学生は、アルバイトやインターンシップ経験がなく、参加前には仕事ができるのか不安を訴えていた。しかし、参加後には、インターンシップに対してポジティブな評価が得られた。 インターンシップが就労へのステップとなるように、今後のインターンシップの改善を検討した結果、期間も内容もさらにステップアップさせたインターンシップの計画が必要であると考えられた。 宇都宮大学梅永雄二氏を招へいして学外者にも公開した講演会(タイトル;「発達障害のある学生の就労支援」)を開催するとともに、梅永氏より今後の研究の指導を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学内のインターンシップはほぼ計画通り実施できた。インターンシップは、大きな困難もなく、参加学生からはポジティブな評価が得られた。インターンシップがその後の進路に大きな影響を及ぼしたケースもあった。インターンシップ前後の面接、テストも計画通り実施できた。インターンシップは、一例ごとにインターンシップ先である大学生協と打ち合わせをしていったため、学生の特性に配慮した対応がスムーズにおこなえた。それぞれのケースを分析した結果、インターンシップを就労につなげていくためには、さらにステップアップをしたインターンシップ計画が必要である事が明らかになった。 研究がやや遅れていると考えたのは、以下の二点の理由からである。一点目は、ステップアップさせたインターンシップの実施計画がやや遅れている。ステップアップさせたインターンシップでは、期間を長くし、より就労を意識した体験が得られることが必要である。平成23年度は、次のステップのインターンシップの計画をたてる段階にとどまり、まだ具体的に実施できるまでには至っていない。 二点目は、ジョブコーチの雇用をできなかったことである。平成23年度は、インターンシップ前後のテストや面接を通じて学生の自己評価を行ったが、作業内容について客観的な評価も必要である。平成23年度は、客観的な評価を実施するジョブコーチの人材確保ができなかった。高知県は人的資源も限られている。平成24年度は、限られた人材の中で、ジョブコーチの養成、スキルアップも計画をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで行った学内でのインターンシップは、就労に対する意識付けを行い、複数の職種を体験することで、職業選択を考えるきっかけとなった。学生は、これまで未経験であった状態から一歩踏み出したことにより、自信が得られ、就労を身近に考えられるようになった。学内のインターンシップからある一定の効果が得られたことから、今後も平成23年度に行ったインターンシップを継続して行う予定である。 しかし一方で、これまで行ったインターンシップは、期間も短く、仕事のスキルアップを体験するには不十分であった。そこで、今後は業務内容をレベルアップさせ、期間も長くしたインターンシップも計画する。具体的には、平成23年度実施のインターンシップにより適職を選択した学生が、次のステップでは、1,2種類の業務に絞ってインターンシップを行う。業務を工夫することや効率的に行うことを経験できるように第2ステップのインターンシップを計画する。できれば、第2ステップのインターンシップは学外の企業でもお願いをしたい。 また、平成23年度は人材不足のため、ジョブコーチの雇用ができなかったが、平成24年度はジョブコーチの雇用を予定している。ジョブコーチによる客観的な評価を導入し、参加学生の自己評価とジョブコーチによる他者評価の相違を確認し、職業選択のマッチングを行うことにする。自己評価と他者評価でのずれが大きい場合は職業選択を見直すことにする。 地方都市では人的資源が限られるため、ジョブコーチの養成、スキルアップの方法についても研究の中で取り上げていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、平成23年度に引き続き、研究費は人件費と旅費を中心に使用する予定である。 人件費の使用は、心理職、ジョブコーチ、事務補助者を研究支援者として雇用予定である。心理職は、インターンシップ前後の面接、テスト、テストのフィードバックを行う予定である。ジョブコーチは、インターンシップ先に出向き、作業分析を行い、作業の状況について客観的な評価を行う予定である。ジョブコーチについては、平成23年度は雇用ができなかった。そのため、平成23年度は計画通りに研究費の使用ができず、人件費に使用予定だった多くが平成24年度に繰り越されている。ジョブコーチに関しては、高知県の人的資源が限られているだけでなく、ジョブコーチ自体が新しい職種のため、専門的な人材が不足している。平成24年度は、研修を通じてジョブコーチのスキルをアップさせていく予定である。広汎性発達障害のある大学生に対する就労支援のスキルを持った支援者育成も本研究の一つの視点と考え、研究費はジョブコーチのスキルアップのためにも使用予定である。 また、情報収集、および成果発表のために旅費の使用を計画している。成果発表が予定されているため、平成23年度よりも旅費の使用が増加する計画である。 尚、現在のところ、高価な備品等の購入の予定はしていない。
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