2012 Fiscal Year Research-status Report
インクルーシブな高等教育における字幕情報呈示に関する研究
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23531316
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Research Institution | Nagano University |
Principal Investigator |
伊藤 英一 長野大学, 社会福祉学部, 教授 (50350822)
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Keywords | 障害者支援 / 情報保障 / 聴覚障害 / インクルーシブ教育 |
Research Abstract |
既存の情報保障技術には、すでに情報格差が存在している。例えば、聴覚障害者に対する情報保障としてノートテイク(要約筆記)がある。大学など高等教育機関における障害学生のための情報保障として利用されるノートテイクは教員の音声を文字化(視覚化)する処理を支援者が担っている。しかしながら教員は音声と共に板書をしたり、スライドを提示したり、それらを指差しするなどジェスチャーを交えながら授業を進める。そのため、聴覚障害学生はノートテイクの結果としての教員の「音声」を目で読みながら、板書やスライドを確認し、さらには教員の行動にも注意を払うという同時に3チャンネルもの視覚情報を処理しなければならない。 本研究は、それら多重化された視覚情報処理において、負担の軽減をはかり、情報の欠落を減少させられる情報呈示方法を開発することにある。平成24年度は、聴覚障害学生が健聴学生と同一の講義を受講するために必要となるノートテイクサービスを受ける環境において、如何にして容易に教員の行動に注意を向けられるのかについて検討を行なった。 一般的にノートテイクサービスを受ける場合、利用者のほとんどは講義中の教員には注意を向けず、常にノートテイカー(要約筆記者)の記述するノートに視線が注がれる。そこで、教員が注目してほしい時に聴覚障害学生へ連絡するための無線式情報呈示システムを開発した。授業中に教員がスライドを換えたり、板書したりした折に教員が押しボタンを操作することにより、聴覚障害学生が持つ子機に信号が伝達され、振動刺激により呈示するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成23年度に開発した質問プログラム(注意喚起システム)の納品遅延による影響から、実際にデータを取得するための評価実験の構築が遅れてしまったことが原因である。 平成24年度に開発予定となっていた「字幕情報の発現をリアルタイムに指示(注意喚起)することのできるシステム(インジケータ)」については、評価実験と同時に開発することができず、結果的には年度内に開発できたが予定された進行状況を改善するまでに至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に開発した質問プログラム(注意喚起システム)による実験を進める。特に、視覚情報(文字情報)の配置や大きさ、呈示手段を可変できる実験環境において、困難さ(正答率と反応時間)の違いをさらに明らかにしたい。また、実際の授業現場において、字幕情報の発現を指示することのできるインジケータ(平成24年度開発)を活用し、その有効性を確認するための実証実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、平成24年度までに開発した実験システムとインジケータによる実験を実施するための予備調査を含めた実証実験を連携研究者と実行する。そのための打ち合わせに必要な旅費が生じるほか、これに関する実験補助員への謝礼等を計画している。 平成24年度は、予定していた備品が予定より安価(ビデオが約半額など)に入手できたことと、研究の進捗の遅れから実験に着手することができず、それに関する旅費や謝礼が発生しなかったこと、それら実験に必要な消耗品の使用が発生しなかったこと、等により繰り越しが生じた。当該の繰り越し分については、平成25年度に実施する実験での旅費や謝礼、消耗品に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)