2013 Fiscal Year Research-status Report
インクルーシブな高等教育における字幕情報呈示に関する研究
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23531316
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Research Institution | Nagano University |
Principal Investigator |
伊藤 英一 長野大学, 社会福祉学部, 教授 (50350822)
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Keywords | 障害者支援 / 情報保障 / 聴覚障害 / インクルーシブ教育 |
Research Abstract |
既存の情報保障技術には、すでに情報格差が存在している。例えば、聴覚障害者に対する情報保障としてノートテイク(要約筆記)がある。大学など高等教育機関における障害学生のための情報保障として利用されるノートテイクは教員の音声を文字化(視覚化)する処理を支援者が担っている。しかしながら教員は音声と共に板書をしたり、スライドを提示したり、それらを指差しするなどジェスチャーを交えながら授業を進める。そのため、聴覚障害学生はノートテイクの結果としての教員の「音声」を目で読みながら、板書やスライドを確認し、さらには教員の行動にも注意を払うという同時に3チャンネル、あるいはそれ以上の視覚情報を処理しなければならない。 本研究は、それら多重化された視覚情報処理において、負担の軽減をはかり、情報の欠落を減少させられる情報呈示方法を開発することにある。平成25年度は、聴覚障害学生が健聴学生と同一の講義を受講するために必要となるノートテイクサービスを受ける環境において、教員の音声情報の視覚化だけではなく、板書を開始したり、スライドを変更したりした場合に、それら教員の行動に注意を向けてもらいうため、振動による注意を喚起するシステムを製作した。 一般的にノートテイクサービスを受ける場合、利用者のほとんどは講義中の教員には注意を向けず、常にノートテイカー(要約筆記者)の記述するノートに視線が注がれる。そこで、教員が板書を始めたり、スライドを変更したりする時、つまり教員の行動が変化した場合において、その状況を聴覚障害学生へ連絡するための無線式情報呈示システムを製作した。授業中に教員がスライドを換えたり、板書したりした折に教員や支援者らが押しボタンを操作することにより、聴覚障害学生が持つ子機に信号が伝達され、振動刺激により呈示するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成23年度に開発した質問プログラム(注意喚起システム)の納品遅延による影響から、実際にデータを取得するための評価実験の構築が遅れてしまったことが研究期間延長の主たる原因である。平成24年度に開発予定となっていた「字幕情報の発現をリアルタイムに指示(注意喚起)することのできるシステム(インジケータ)」については、評価実験と同時に開発することができず、結果的には平成24年度内に納品されたが、平成25年度内に実施する予定であった研究計画が完了するまでには至らなかった。 そのため、本研究は平成23年度から25年度の3カ年としていたが、平成25年度に実施予定であった授業現場におけるインジケータ(振動による情報提示部)の実証実験が実施できず、平成25年度末において補助事業期間の延長を申請し、許可された経緯がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度内に実施予定となっていた授業現場におけるインジケータ(振動による情報提示部)の実証実験をおこない、その有効性を確認する。 研究計画上の大きな変更点としては、研究期間を1年間延長することで未実施となった実証実験を実施し、システムの有効性を確認する予定である。 研究経費については当初予定していた実証実験が未実施となったことから、経費的には問題なく支出することが可能であり、研究を推進することが可能である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に開発した注意喚起システムの納品が遅れたことにより、評価実験が先送りとなってしまった。その影響により、平成24年度に開発予定であった注意喚起システムの情報提示部(インジケータ)の評価実験を含みシステムチェック等がさらに遅延してしまい、平成25年度にずれこんでしまった。 その結果、平成25年度に実施予定であった授業現場におけるインジケータの実証実験ができず、経費が未使用となり、期間の延長申請を行った。 予定通り実施できなかった実証実験のための旅費、謝金、物品等に利用する予定である。 実証実験では、注視すべき状況が発生したり、なんらかの状態の変化が生じたことを随時、振動にて提示する。具体的には、授業においてノートテイクサービスを受けている聴覚障害学生にインジケータを保持してもらい、教員が板書を始めた、あるいはスライドを指示した、というような変化を聴覚障害学生へ伝達することにより学習効果が高まる事を確認する。
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