2012 Fiscal Year Research-status Report
発達障害や学習困難をもつ小中学生の認知的個性を活かす特別支援の方策に関する研究
Project/Area Number |
23531317
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
松村 暢隆 関西大学, 文学部, 教授 (70157353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 正義 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 講師 (50508520)
竹澤 大史 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 教育福祉学部, 研究員 (80393130)
緩利 誠 浜松学院大学, 現代コミュニケーション学部, 准教授 (80509406)
石川 裕之 畿央大学, 教育学部, 助教 (30512016)
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Keywords | 発達障害 / 学習困難 / 才能 / 認知的個性 / 2E児・者 / 特別支援 |
Research Abstract |
認知的個性という包括的概念の下、発達障害や学習困難と才能(得意、取り柄)に関する認識、アセスメント、特別支援に関して、多方面の視点から基礎的調査、資料収集を前年度に引き続き行った。1.中学校の総合学習等で生徒の認知的個性を把握して活かす実践を進めた。MI(多重知能)や同時・継次処理様式の特性を総合学習の集団形成や教科授業の方法に有効に活かせることが分かった。2.乳幼児期から青年期に至る各年代の発達障害児の認知的特性と、必要な具体的支援方法について、検討を進めた。また、発達障害児の認知的個性を検討するための資料収集や、知能検査等のプロフィールのデータの収集に努めた。3.保育士研修プログラムを実施する中で、発達障害のある幼児を担当する保育士が、担当児の発達プロフィールを把握し、「取り柄」を伸ばすための支援に活かせるよう、保育士自身がアセスメントを実施する機会を設定した。また詳細な行動観察記録に基づいて、担当児の「得意な行動」を見極め、伸ばすための方策を検討した。4.人材育成などの場において、認知的個性のうち、「強み」にこだわり、その発見・活用を促すための方策が欧米を中心に模索され始めている。その動向が顕著な多岐にわたる分野、すなわち経営学や社会福祉学、障害児教育、才能教育、ポジティブ心理学において、強みに焦点をあてることの意味や意義、可能性が論じられる様子を整理し、通常学級での教育への示唆を得た。5.韓国の2E教育に関する資料を収集し、特別支援教育と才能教育の関係性について考察した。韓国では才能教育を特別支援よりも人的資源開発の一環と見なす傾向が強く、特別支援教育と才能教育の関連法令や担当行政部署が別立てになっているなど、法制度的な両者の連携は十分とはいえないが、一方で、研究者や教育関係者の一部では、両者の連携を図る試みがなされていることも判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、3年計画の研究の中間段階として、前年度に引き続き基礎資料を収集して、今後調査を実施する計画を検討、修正するのが目的であった。その観点からは、研究者間の検討会も実施され、目的は概ね順調に達成されてきたと言えよう。具体的な研究の点では、データ収集を伴う調査等が予定通り実施できなかった面もあるが、代替の基礎的調査・資料収集と計画改善により、次年度の研究に順調に繋げられるものと判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、3年目の次年度は、認知的個性に関する今年度の基礎的調査・資料収集に基づいて、具体的な調査研究をより詳細に展開させる。1.中学校の総合学習や教科学習で生徒の認知的個性を活かす実践をさらに進める。MIや同時・継次処理様式の特性の有効性を探究する。2.昨年度から引き続き各年代での発達障害児の認知的個性についての解明と、必要な具体的支援方法について検討を進める。認知的個性については、学齢期の子どものWISC-IVやK-ABC等の知能検査・認知機能検査の結果と認知的個性を測定する質問紙を比較検討し、実証的検討を行う。3.発達障害のある幼児を担当する保育士が、担当児の発達プロフィールを把握し、その変化を捉えることが可能なアセスメント及び評価の方法を検討する。4.「弱み(欠点/欠陥)」に焦点をあてる従来のアプローチではなく、「強み(持ち味/可能性)」に焦点をあてるポジティブアプローチの観点から、今後の学校教育のあり方について提案できるよう、「強みの哲学」の理論化を図る。必要に応じて、主要人物を対象にインタビュー調査を行う。5.2E教育に関する研究を進めているソウル大学のキム・ドンイル教授を訪ね、韓国における2E教育の現状と課題についてインタビュー調査を行う。さらに、「英才学級」等の才能教育機関において2E児をどう処遇しているのかについて実地調査を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・国内旅費、外国旅費について、国内外の資料収集や学会参加、フィールド調査の実施等のために、国内・外国旅費が必要である。また、3年計画の本研究の最終報告に向けて、研究者が集まり検討会を実施するため、国内旅費を使用する。 ・設備備品費、消耗品費について、行動観察用の機器や関連図書、検査・フィールド調査、データ整理等に必要な消耗品等を購入する。 ・謝金等について、データ入力・整理のための研究補助者、インタビュー調査協力者に対して必要となる。 ・その他について、研究代表者・分担者・協力者が執筆して報告書冊子体を作成し、各方面に配付するため、印刷・製本費を計上する。 ・なお、次年度への繰越金は、一つは、子どもの行動観察の手順を状況に応じて柔軟に進める上で、今年度中の観察機器購入が困難になったため、次年度の物品費に充てられる。また一つは、報告書冊子体を作成する印刷・製本費の一部として「その他」の費用に充てられる。
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Research Products
(20 results)