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2012 Fiscal Year Research-status Report

記号的リース代数のネータ性に関する研究

Research Project

Project/Area Number 23540042
Research InstitutionChiba University

Principal Investigator

西田 康二  千葉大学, 総合メディア基盤センター, 教授 (60228187)

Keywords可換環 / 次数付環 / 記号的リース代数 / シンボリックリース環
Research Abstract

この研究では,3次元正則局所環(または3変数多項式環)Rにおいて高さが2のイデアルIをとり,任意の正整数nに対してIの記号的n乗を計算する新たな方法を見出すと共に,Iの記号的リース代数(シンボリックリース環)のネータ性の判定法を改良することを目指している.このようなIの典型的な例としては,互いに素な正整数a, b, cに対して定まるspace monomial curveの定義イデアルP(a, b, c)が挙げられる.今年度は,記号的リース代数のネータ性の判定法を改良することを試みた.良く知られているHunekeの判定法では,Rが3次元正則局所環で極大イデアル(x, y, z)Rをもつ場合を扱っていて,Iの記号的k乗の元fと記号的l乗の元gに対して,剰余加群A/(x, f, g)Aの長さを調べなければならないのだが,それを実行することは困難な場合が多い.即ち,Hunekeの判定法を実際に適用できるIはかなり素性の良いものに限られるのである.そこでこの判定法の改良を目指したのであるが,その成果として次の様な結果が得られた.
Iの記号的k乗の元fと記号的l乗の元gで,次の2条件をみたすものが存在することと,記号的リース代数が有限生成になることは同値である:(i) Iの任意の元は十分大きなベキ乗をとるとfとgが生成するAのイデアルに含まれる.(ii) Iの任意の素因子Pをとり,IをPで局所化したイデアルのリース環を考えると,その環の正次数の斉次元の十分大きなベキ乗は,fが定めるk次の元とgが定めるl次の元で生成されるイデアルに含まれる.
この判定法を適用することにより,例えばP(9, 7, 31)の記号的リース代数はネータ環であることが分かるが,この例に対してHunekeの判定法を適用することは非常に困難である.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

実行が困難なことが多い長さの計算を必要としない判定法を見出し,具体例に対して適用可能であると確かめられたことは,この研究を進める上で重要なステップを踏んだと言えるのではないかと思う.

Strategy for Future Research Activity

次年度では,これまでに得られた結果を応用し,記号的リース代数が有限生成にならないようなP(a, b, c)の例を豊富に見つけたいと考えている.基礎体が正標数の場合にそのようなものを見つけられれば,重要な未解決問題に大きく貢献することができる.我々は「存在する」という答えが出ることを期待しているが,そうでない(即ち,正標数の体上では P(a, b, c)の記号的リース代数は常に有限生成である)という可能性も高い.いずれにせよ,与えられたイデアルの記号的ベキ乗を実際に計算する必要があり,その作業を実行する上で初年度の成果が役に立つであろうと期待している.勿論,予定通りに計画が進むとは限らないが,新たに解析することに成功した正標数の体上での P(a, b, c)の情報を利用して,標数が0の体上で記号的リース代数が有限生成にならない P(a, b, c)のクラスを,既に知られている例を含む形で大幅に広げることは十分に可能であろうと思う.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究遂行の為に購入したパソコンの価格が安価であったことと,情報収集・成果発表を目的とした海外出張の回数が少なかった為、実支出額が当初の予定を下回った.残った資金は次年度に繰り越し,有効に使用したい.
数学を研究する際には,討論を通した他の研究者との交流は欠かすことのできない作業の一つである.この研究計画を実行する上でも,国内外の研究者と積極的に接触を持ちたいと思う.その為に旅費には十分な準備をしておく予定である.
また,資料や文献の収集が様々な局面で必要になるので,その予算を確保しておくことも重要である.

  • Research Products

    (3 results)

All 2013

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Journal Article] On a transform of an acyclic complex of length 32013

    • Author(s)
      Kosuke Fukumuro
    • Journal Title

      Journal of Algebra

      Volume: 384 Pages: 84-109

    • DOI

      10.1016/j.jalgebra.2013.03.009

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] acyclic complexの*-変形について2013

    • Author(s)
      稲川太郎
    • Organizer
      第25回可換環論セミナー
    • Place of Presentation
      奈良県新公会堂(奈良県奈良市)
    • Year and Date
      20130130-20130202
    • Invited
  • [Presentation] saturationの計算2013

    • Author(s)
      福室康介
    • Organizer
      第25回可換環論セミナー
    • Place of Presentation
      奈良県新公会堂(奈良県奈良市)
    • Year and Date
      20130130-20130202
    • Invited

URL: 

Published: 2014-07-24  

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