2015 Fiscal Year Research-status Report
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23540060
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
中村 幸男 明治大学, 理工学部, 教授 (00308066)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2017-03-31
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Keywords | 単項式イデアル / Stanley-Reisner 環 / グラフ / Cohen-Macaulay / Lefschetz 性 / 随伴次数環 / 導来圏 / Buchsbaum 性 |
Outline of Annual Research Achievements |
多項式環上の単項式イデアルの挙動を通じて、抽象的な代数の概念を離散数学的な観点から表現することを目標としている。具体的には次の2つをテーマとしてきた。 1.単体的複体から定まるStanley-Reisner環の環論的性質を単体的複体の持つ離散数学的性質と結びつけること。2.体上のArtin次数環を対象に、完全交叉が強Lefschetz性を持つか?という未解決問題へのアプローチ。 これらの問に対し、1.についてはStanley-Reisner環のCohen-Macaulay性、列性Cohen-Macaulay性、非混合性について、グラフ理論における新しい概念である「概完全多部グラフ」を導入して特徴づけを与えた。2.については強Lefschetz性が基礎環と随伴次数環との間で遺伝することをある種の条件の下での成立することを示し、この方向での上述の問題へのアプローチを試みている。 現在は、この2つのテーマのほかに、圏論の観点からの研究も行っている。これは、多項式環上の単項式イデアルという具体的な対象を通じて、導来圏や導来関手などの圏論で扱われる抽象的な概念を具体的に記述することを目標としたものである。 特に「全射的Buchsbaum性を持つ局所環の局所コホモロジーが導来圏上で直和に分解する」という性質に注目しており、その拡張を考えている。動機は、このテーマがCanonical Element Conjecture に深く関連するというところから来たものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、本務校執行部の一員として、大学運営に関わる業務となる教務・入試・広報の仕事を中心に学内にて生じるあらゆる問題に対処しており、研究時間に大きく制限を受けたことが影響してしまったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
グラフから定まるStanley-Reisner環について、2部グラフの場合は多くの結果が知られている。これを3部グラフといった多部グラフ方向へ進めていく。 導来圏や導来関手といった抽象的な概念を、Stanley-Reisner環を通じて扱うことによる視覚化を試みる。
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Causes of Carryover |
本務校執行部としての仕事が入り、予定していた出張ができなくなったことが大きい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究集会への出張と関連文献の購入。 共同研究者に旅費の援助をして参加できなかった研究集会での情報を得る。
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Research Products
(1 results)