2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540080
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
中川 泰宏 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90250662)
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Keywords | Einstein・Kaehler 計量 / 幾何学的不変式論 / 安定性 / Kaehler・Ricc ソリトン / Kaehler・Ricc 流 |
Research Abstract |
これまでの研究に引き続き,偏極代数多様体の幾何学的不変式論の意味における安定性と定スカラー曲率 Kaehler 計量の存在とが同値になるという予想いわゆる「偏極代数多様体に対する小林・Hitchin 対応」を中心に研究した. 特に本年度は Nill・Paffenholz による非対称なトーリック Einstein・Fano 多様体の例の一般化について考察した.Nill・Paffenholz の例は 7 次元のものと 8 次元のものがあり,昨年度の研究成果とあわせて、本年度は 7 次元の例を一般化(高次元化)することに成功した.この結果,次元が 7 以上の奇数であるような 非対称なトーリック Einstein・Fano 多様体の例を多数構成することができた.Nill・Paffenholz による 7 次元の非対称なトーリック Einstein・Fano 多様体は Einstein 計量を許容するが,漸近的 Chow 安定でないことが小野・佐野・四ッ谷により示されているので,我々の構成した例達もそのような性質を持つことが期待される.この問題に関しては,本年度の研究により,一番単純なタイプの一般化の場合には,漸近的 Chow 安定でないことが示せた.特に,7 以上の任意の奇数を次元とするような 非対称なトーリック Einstein・Fano 多様体で漸近的 Chow 安定でないようなものを構成することができた. 8 次元の Nill・Paffenholz による非対称なトーリック Einstein・Fano 多様体の例の一般化については今後の課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nill・Paffenholz による 7 次元の非対称なトーリック Einstein・Fano 多様体の例を高次元化することに成功した.彼等の 7 次元の例は,Einstein 計量を許容するが,漸近的 Chow 安定でないため「偏極代数多様体に対する小林・Hitchin対応」において重要な例となっている.我々の構成した高次元化のうち,最もシンプルなタイプのものはやはり,Einstein 計量を許容するが,漸近的 Chow 半安定でないという性質を持つことが示せており,その他の一般化についても,この性質を持つことが十分期待できる. Tian や Chen・Donaldosn・Sun により Fano 多様体の場合の小林・Hitchin 対応が解決された.彼等の方法は錐特異点を許した Einstein・Kaehler 計量を用いた連続法によるものであった.一方,Kaehler・Ricci 流を用いた Fano 多様体の場合の小林・Hitchin 対応の解決は今のところうまくいっていないようである.Tian,Chen・Donaldosn・Snu の方法を精査することにより,Kaehler・Ricci 流を用いた Fano 多様体の場合の小林・Hitchin 対応の研究を進展させることが可能になるのではないかということが期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,Nill・Paffenholz による 7 次元の非対称なトーリック Einstein・Fano 多様体の例の一般化が,最もシンプルな場合のみならず,全てが Einstein 計量を許容するが,漸近的 Chow 安定でないという性質を持つことを確認したい.さらに,8 次元のほうの Nill・Paffenholz による非対称なトーリック Einstein・Fano 多様体の例についても,7 次元のときと同様に一般化(高次元化)したい.こちらの一般化についても,やはり Einstein 計量を許容するが,漸近的 Chow 半安定でないという性質を持つことを示したい. また,トーリック多様体束上での Kaehler・Ricci ソリトンの存在問題の解決を目指す.これは,Wang・Zhu による,トーリック Fano 多様体上のKaehler・Ricci ソリトンの存在定理の一般化である.具体的には,ある特殊な関数空間における解析学的手法を整備してやることができれば解決できるのではないかと期待している. さらに,Kaehler・Ricci 流の観点からの Fano 多様体の場合の小林・Hitchin 対応の解決を目指したい.Kaehler・Ricci 流の観点から Fano 多様体の安定性に関する考察をした研究はあまりうまくいっていないように思われる.しかし,「正則ベクトル束に対する小林・Hitchin 対応」の解決が熱流の方程式を用いていたことや,Cao による Ricci 曲率が負また零の時の Einstein・Kaehler 計量の存在問題の Kaehler・Ricci 流を用いた解決などからも,この観点で大きな結果が得られることは十分期待できそうである.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学内委員等の仕事の都合で,当初予定していた国外で開催された国際研究集会に参加することができなくなり,国外旅費の使用がなくなった為. 本研究で考察する種々の問題はどれも多分野,特に代数幾何学・複素微分幾何学および解析学(特に偏微分方程式)にまたがっており,多様な情報を収集するためにも,幾何学関係・代数学関係および解析学関係の書籍を必要とする.また,これらの研究テーマはここ数年で急速に発展してきている.そこで,最新の研究結果を収集するために,国内外の研究集会に参加する必要がある.よって,2014 年度は,物品費:500,000 円,旅費:700,000 円,人件費・謝金:200,000 円の使用を予定している.
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Research Products
(3 results)