2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540084
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
南 範彦 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80166090)
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Keywords | ホモトピー論 / A_1-ホモトピー論 / F_1-スキーム / 導来代数幾何 / 岩澤理論 |
Research Abstract |
Morel-Voevodsky IHES論文を中心としたA1-ホモトピー論を,現代的な観点から初学者にとっても大変役に立つように代数的K理論の初歩から書いた45ページのサーベイ論文が、最終的にRIMS Kokyuroku Bessatsu B39巻 063-107頁, 2013 に発表された。ここで考察したA1-ホモトピー論の状況にまで、研究代表者南が提唱する通常のホモトピー論における『新・世界最後の日予想』を一般化した考えるのが自然であるとの知見に達し、それを2013年05月27日~2013年05月30日に京都大学数理解析研究所で開催された『変換群のトポロジーとその周辺』および2013年11月02日 ~2013年11月04日に岡山大学創立50 周年記念館で開催さてた『ホモトピー論シンポジウム』で講演した。その粗筋は、京都大学数理解析研究所講究録, 1876巻 48-69頁, 2014に発刊された。更に日本数学会『数学』の招待論文として招請されていたこれらを含んだ論説が、数年かかって漸く完成して投稿することが出来た。これに関しては現在査読者の報告待ちの状態である。 一方、朝倉数学辞典の『ループ空間』の執筆を通して、Bokstedt-Hsiang-Madsen の Novikov予想の代数的K理論類似に関する仕事およびそこで用いられる位相ホックシルトホモロジーに関して、より現代的な観点から見通しの良い理解が出来るようになった。これらに関しては2013年09月17日~2013年09月19日に京都大学数理解析研究所で開催された『空間の代数的・幾何的モデルとその周辺』、2013年12月25日~2013年12月27日の高知ホモトピー論談話会2013、2014年03月24日~2014年03月26日に岡山大学自然科学研究科で開催された『春の代数的位相幾何学セミナー』で講演した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Bokstedt-Hsiang-Madsenの定理の証明の理解の過程で、岩澤理論や局所類対論の見通しの良い切り口を与えた局所単数に関するColeman作用素が本質的に用いられていることを知った。これを契機として、研究代表者南の研究のかなりの時間と労力が、本研究の主題である高次圏やF_1-スキームというよりは、Coleman作用素を中心とした岩澤理論の理解に注がれるようになってしまった。このために、本研究の遂行が少々遅れたしまった。ただ、こう書いてしまうとホモトピー論とはあまり直接の関係のない代数の研究に迷い込んでしまったと思われるかもしれないが、実は岩澤理論とK理論でBousfield局所化された安定ホモトピー圏の間に密接な関係があることが、既に30年前にRavenelによって認識されていたのである。
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Strategy for Future Research Activity |
岩澤理論へ研究対象が広がったため当初の研究予定に遅れが出てしまったが、これは決して無為なことではない。実際岩澤理論に興味を持つきっかけとなったBokstedt-Hsiang-Madsenの結果は、本研究課題の目的の中核をなす『導来代数幾何』の観点からは、その豊かな可能性を予感させる『導来可換代数』応用の最も輝かしい成功例と見做せる。それ故Bokstedt-Hsiang-Madsenで本質的な役割を果たしている手法をすべて理解するのは本研究課題の立場からは必然なので、ここでの岩澤理論の使われ方も、当然理解しなければならない。そしてこれを見て『導来代数幾何』応用においてどのような岩澤理論的代数対象を用いるべきかを見出したい。関連して、最近の論文 J. Kohlhaase: On the Iwasawa theory of the Lubin-Tate moduli space, Comp. Math. 149, 2013, pp. 793-839 においては、『導来』の元となる『勇環(brave ring)』の圏における高次のクロマティック階層の代数的近似を与えるLubin-Tate空間に対する岩澤理論が展開されているので、これの導来化の可能性を探りたい。特に導来代数幾何の最も知られている応用の一つである Lurie 氏の位相的保型形式の構成においても間接的に用いられる、 Gross-Hopkins-Miller の古典的構成への応用を探りたい。これらに加えて、F_1-スキームに関して、Bost-Connes のRiemannゼータの分配関数としての解釈の類似を、多の状況でも見出したい。岩澤理論的な考察が切り口となる可能性が有る。
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