2012 Fiscal Year Research-status Report
3次元多様体の同境圏におけるホモロジー同境不変量の構造
Project/Area Number |
23540113
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
福本 善洋 立命館大学, 理工学部, 教授 (90341073)
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Keywords | ホモロジー同境 / 低次元多様体 / 基本群 / ゲージ理論 / 指数定理 |
Research Abstract |
平成24年度の研究計画では,2)3次元多様体のホモロジー同境モノイドの構造を次数付き可換環の部分圏のある関手によるファイバーの構造の解明,3)鉛管多様体の符号数不足指数型不変量とOchanine不変量の位相的重力理論への応用を目標としており,主に,1)インスタントン・ゲージ理論のレンズ空間のコボルディズムへの応用,2)3次元球面の結び目の補空間のSU(2)表現空間の解析を研究した. 1)に関しては,古田幹雄氏との共同研究で,(a,1)型および(a,-1)型のレンズ空間の幾つかのコピーを境界とする滑らかなある種のコボルディズムによって誘導されるホモロジー群の間の準同型の形を決定した.その際,インスタントン数1/aのSU(2)インスタントンのモジュライ空間を考察し,バブル現象を解析した. 2)に関しては,インディアナ大学のポール・カーク教授との共同研究であり,3次元球面の結び目の補空間を,自明なタングルを含む3次元球体と,その外部に分解し,それぞれのタングルの補空間の基本群のトレースなしSU(2)表現空間から,4点を除いた2次元球面のトレースなしSU(2)表現空間への像のラグランジアン交叉を計算機を用いて解析し,またそれらの双二面体群表現の構造の考察を行った.以上の結果は,3次元多様体,およびK.Janichによって導入された3次元球面における絡み目に対して構成される高次元絡み目多様体への応用が期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画にある2)3次元多様体のホモロジー同境モノイドの構造は,ゲージ理論を用いることにより,複数のレンズ空間の間の同境に関してある結果が得られ,その手法をより一般の同境の考察に応用することが可能であると期待される.また,3)位相的重力理論への応用に関しては,3次元における結び目の補空間の基本群の表現空間に関する本年度の結果が,K.Janichによって導入された3次元球面における絡み目に対して構成される高次元絡み目多様体への応用に関して一つの手がかりを与えるものと考えられる.一般の3次元多様体に関する結論に到達するためには解決すべき課題が多いが,具体的な対象に関してある一定の結果が得られ,概ね順調に進展したと考えることができる.
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度は,1)インスタントン・ゲージ理論の有理ホモロジー球面の間のコボルディズムの問題への応用,2)結び目の補空間の指標代数多様体,およびA-多項式と,結び目の補空間の基本群のトレースなしSU(2)表現との類似の探求を行う.特に,1)に関してはシリンダーの端に持つ4次元多様体上のインスタントンとそのバブルの考察,オービフォルドの一意化の方法としての解釈,および,ホモロジー同境でない二つのホモロジー球面に同じSeifert多様体を連結和したときのホモロジー同境について考察する.また,2)に関しては,トレースなしSU(2)表現空間における,4点穴空き球面の表現空間における,二つのラグランジアン交叉と結び目のフレア・ホモロジーとの関係,およびそれらの複素化,3次元球面における絡み目に対して構成される高次元絡み目多様体への応用を目標とする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度に,海外における国際会議への出席等を予定していたが,当年度の後半にインディアナ大学に長期滞在することになり,当大学における共同研究に努めた.日程上の都合もあるが,2013年度にインディアナ大学を基点として,アメリカをはじめとする各地での国際会議に参加する事が,研究上最も有効であると判断した. 2013年度の研究費の使用計画は,主に1)東京大学大学院数理科学研究科,およびその他の研究機関における研究打ち合わせ,研究発表による国内出張で約50万円,また,2) モントリオール大学,マックス・プランク研究所,ミネソタ大学おける研究会,国際会議による海外出張で約150万円,また,3)書籍,および科学技術ソフトウェアを約10万円,4)パソコンおよびその周辺機器に約15万円,5)印刷その他に約5万円を使用する計画である.
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Research Products
(3 results)