2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23540132
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
永幡 幸生 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50397725)
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Keywords | 多種粒子系 / 流体力学極限 / スペクトルギャップ |
Research Abstract |
流体力学極限の研究は,(巨視的な)流体の運動を,流体を構成している(微視的な)粒子系の運動法則から理解しようとする試みです.気体の運動を考えると粒子系の運動法則はNewtonの運動方程式に従う気体分子の超多体系で1つ1つの気体分子を見れば各々は他の気体粒子との相互作用により,ランダムに動いているように見えるでしょう.しかしながら,時間―空間に対して「良い」スケール変換をしてみれば決定論的なダイナミクス(流体の方程式)に従って時間発展しているように見えます.このように超多体系から時間―空間に対して「良い」スケール変換をすることにより決定論的な方程式を導出することを総称して「流体力学極限」と呼びます.この「流体力学極限」の問題を数学的に厳密に導出したいのですが,残念ながら現段階では困難でありますので,流体の方程式が導出されるメカニズムを保持しつつ,かつ数学的には厳密に「流体力学極限」をとることができるモデルを考えます.その1つのモデルが格子気体モデルです. 本年度は昨年度に引き続き「多種粒子系の流体力学極限」を導出することを目的として,「中心極限定理の分散」の研究を行うと共に,このモデルと共通点の多い「ジャンプ率が退化した格子気体の流体力学極限」を同時に考えました。 「中心極限定理の分散」に関しては予想通りの結果を得ました。一方で極限として表れる非線形拡散方程式系の解析が予想に反してうまくいかず,全体としては難航しています。 「ジャンプ率が退化した格子気体の流体力学極限」に関しては昨年度に行った研究をさらに発展させる形で研究を行うことによりよいスペクトルギャップの評価を得て,論文にまとめました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は予定通り「中心極限定理の分散」の研究を行い予想通りの結果を得た。 一方予想していなかった「極限の非線形拡散方程式系」の解析が必要であることが判明したが,来年度に予定していた「拡散係数の滑らかさ」の研究とあわせて取り組むべき問題であると予想し,研究中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は予定していた「拡散係数の滑らかさ」の研究とあわせて,「極限の非線形拡散方程式系」の研究を行うことで「多種粒子系の流体力学極限」を完成させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画通り、「拡散係数の滑らかさ」の研究を進めるとともに「極限の非線形拡散方程式系」の研究を順次進めていく。それに伴い、情報収集、ディスカッションを行い、結果が出次第、論文にまとめ、学会などで発表を行う。
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Research Products
(7 results)