2012 Fiscal Year Research-status Report
超高精度数値解法を用いた波動場逆問題に対する数値的再構成法の研究
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23540152
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
代田 健二 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (90302322)
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Keywords | 高精度解法 / 波動方程式 / 逆問題 / 多倍長計算 / 波動場 / 数値的再構成法 / モデル化誤差 |
Research Abstract |
今年度は,スカラー波動方程式の順問題に対する超高精度数値計算法において重要な非対称疎係数行列を持つ連立一次方程式の反復解法における前処理および高精度演算利用の研究を実施した.本研究では,疎な非対称行列の解法として有用な BiCGSTAB 法を採用している.昨年度の研究により,高精度近似解を実用時間で得るためには収束性改善が必須であることが判明したため,前処理および高精度演算使用による効果を検証した.前処理としては,多倍長計算に伴う使用メモリ量抑制実現のため,行列の疎構造を維持する対角スケーリングとフィルイン無し不完全LU分解を採用した.それらの前処理について多倍長計算環境下における数値実験を実施し,どちらの手法についても大きな改善が見られず,反復回抑制に対して前処理より計算桁数を大きく取る方が効果的であることを明らかにした.また,内部内積演算を荻田・大石らにより提案された高精度演算法に置き換えた高精度演算 BiCGSTAB 法を考案し,数値実験によりその効果を検証した.その結果,高精度演算を用いた場合においても,収束性に改善は見られなかった.以上の結果より,計算桁数を大きく取ることが,収束性にとって最も効果的であることが明らかとなった.しかし,計算桁数を大きく取ることは計算時間の増大を意味するため,今後は疎行列用直接解法の検討が必要であることを確認した. これらの成果について,国内学会において口頭発表を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初予定では逆問題再構成手法の開発を行う予定であったが,非対称疎係数行列を持つ連立一次方程式の反復解法の超高精度並列ソルバ改良が予想以上に困難であったため,当初計画より遅れてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
疎な非対称係数行列用の連立一次方程式並列ソルバとして,反復解法ではなく直接解法である Super LU 法を採用し,高精度高速化および使用メモリ抑制を実現する.その後,逆問題に対する高精度数値的再構成法開発を実行する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
並列計算実行に必要な計算環境は,昨年度までに整備が終了した.今年度より成果発表・研究協力者への助言を求めるための出張費へ,今年度の研究費とともに使用する予定である.
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Research Products
(2 results)