2013 Fiscal Year Research-status Report
超高精度数値解法を用いた波動場逆問題に対する数値的再構成法の研究
Project/Area Number |
23540152
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
代田 健二 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (90302322)
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Keywords | 高精度解法 / 波動方程式 / 逆問題 / 多倍長計算 / 波動場 / 数値的再構成法 / モデル化誤差 / 最適設計問題 |
Research Abstract |
今年度は,波動方程式の逆問題に対する高精度再構成手法開発の基礎研究として,トポロジー最適化による最適設計問題に対する高精度反復型解法の開発を行った.最適設計問題とは,弾性場などにおいてエネルギーなどを意味する汎関数を制約条件下で最小化する領域形状を求める問題であり,その性質は非適切である.しかし,使用するデータはこちらで規定できるため測定誤差は存在しない問題であり,多倍長計算と高精度解法を用いた再構成手法の有効性が期待できる問題である.トポロジー最適化とは,領域形状を偏微分方程式の係数関数を同定することで最適形状を求める手法であり,波動方程式の係数同定問題への適用を考察するための基礎研究として有効である.本研究では,まずポアソン方程式に対する最適設計問題を対象とし,最急降下法およびH1勾配法による反復型数値的再構成手法を開発した.偏微分方程式の計算手法としては任意多点差分法を用い,手法において必要な数値積分法として指数関数補間を利用した方法を用いた.それら手法を有効に動作させるため,多倍長計算環境とMPIによる並列計算高精度プログラムを開発し,その有効性を数値実験により検証した.その結果,最急降下法による結果は数ステップで計算が破たんするのに対し,アルゴリズム全体の数学的枠組みを保証しているH1勾配法は,収束性は遅いものの工学的妥当性のある結果へ収束していくことを確認した.一方,計算時間を予想以上に要したため,プログラム内部の更なる並列化と探索幅の決定手法改良が,波動方程式への適用を考察する上での検討課題である. これらの成果について,国内学会において口頭発表を実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定では,波動方程式の逆問題再構成手法開発を行う予定であったが,その基礎研究である高精度最適設計手法開発に予想以上の時間を要したため,当初計画よりやや遅れてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
ポアソン方程式,線形弾性方程式に対するH1勾配法を基礎とした高精度最適設計手法を開発し,その結果を元にして波動方程式の逆問題に対する高精度数値的再構成法開発を実行する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は,業務等により予定していた学会等の研究のための出張を行うことができなかった. 成果発表・研究協力者への助言を求めるための出張費へ,今年度の研究費とともに使用する予定である.
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