2014 Fiscal Year Research-status Report
超高精度数値解法を用いた波動場逆問題に対する数値的再構成法の研究
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23540152
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
代田 健二 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (90302322)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 高精度解法 / 逆問題 / 多倍長計算 / 数値的再構成法 / 最適設計問題 / 密度型トポロジー最適化問題 / H1勾配法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,波動方程式の逆問題に対する高精度再構成手法開発の基礎研究として,密度型トポロジー最適化問題に対して昨年度開発した高精度数値的再構成法について,採用した各種勾配法の特性の検討と従来法との比較検討を行った.まず,Poisson 方程式を支配方程式とするトポロジー最適化問題に対して,高精度計算環境下で更なる数値実験を行い,計算桁数増加および離散化精度向上をしたにも関わらず最急降下法の計算が破たんすることを確認した.このことは,最急降下法がトポロジー最適化問題のような係数同定問題に対して本質的に不安定なことを意味している.さらに,高精度計算環境下での数値実験および従来計算環境との比較検討を通して,H1 勾配法の安定性と問題点を明らかにした.具体的には,有限要素法と倍精度環境を用いた結果と高精度計算環境で得られた結果が大きく異ならないことを示すことにより,H1 勾配法が計算環境・方法によらない本質的な安定化手法であることを数値的に示した.一方,手法の基礎となっている KKT 条件は,解析的な状況に近い高精度計算環境下においても数値的に満たされなかった.このことは,得られた近似再構成係数関数は最適関数と近似的にも保証できないことを意味しており,今後の応用に際して改良しなければならない問題点である.なお密度型トポロジー最適化問題は,ある種の条件下で最適な領域形状を求めるものであり,偏微分方程式の係数同定問題として数理モデル化されている.そのため,今年度の研究で得られた成果は,波動方程式の係数同定逆問題への応用が期待できる.
今年度の研究成果については,関連学会で発表するとともに論文誌へ投稿し,現在審査中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では,波動方程式の逆問題再構成手法開発を行う予定であった.しかし,その基礎研究である密度型トポロジー最適化問題に対する高精度数値的再構成手法の開発および検証が予想以上に時間を要したため,当初計画よりやや遅れてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
波動方程式の係数同定逆問題の実用的問題である「合成梁の欠陥同定問題」に対して,H1勾配法を基礎とした数値的再構成法を開発し,研究課題の主目的達成を目指す.
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Causes of Carryover |
今年度は概ね予定通りに執行できたが,業務等により実行できなかった研究のための出張があった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果発表・研究協力者への助言を求めるための出張費へ,今年度の研究費とともに使用する予定である.
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Research Products
(3 results)