2012 Fiscal Year Research-status Report
サポートの分離・併合から見た界面ダイナミクスに対する数値解析
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23540171
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
友枝 謙二 大阪工業大学, 工学部, 教授 (60033916)
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Keywords | 応用数学 / 自由境界 / サポート分離併合 / 界面ダイナミクス / 差分法 |
Research Abstract |
本研究では、「サポート・ダイナミクス」の一つである「蒸発と拡散を伴う流れに現れる浸透領域の変化」を数値的に再現することを目的とする。前年度に続いて 周期的流入・流出を伴う境界条件を課した時に現れるサポートの分離・併合またはその反復性について扱い、その発生メカニズムを解明する数値計算法を構築することである。当該24年度はその当初の研究推進方策に従って以下のことを実施した。 1 固定境界条件を与えた時の定常解を分類しその存在と一意性を証明した。時間発展の解が時間を無限大にした時この定常解に収束することを数値的に確かめることが出来た。同時にこの収束性 即ち 解の安定性についても証明が得られた。次に 周期的流入・流出を伴う境界条件を課した時、境界条件の時間的周期を十分短くするとサポート分離が発生しない数値例を見つけることが出来た。その現象に対する数学的証明は考察中である。 2 得られた2つのサポート追跡法「Interface直接近似法」と「階段関数的メッシュ生成法」について、その優劣を考察したがそれを判定するに足りる十分な数値データが得られなかった。まだ 数値計算に工夫が必要である。現在の所「Interface直接近似法」においては 数値解及び数値Interface curves の収束性の証明が 初期関数が「下に凸」である時に得られた。しかし「階段関数的メッシュ生成法」においてはそのような数学的結果はまだ得られていない。「Interface直接近似法」の空間2次元への拡張について考察し 次年度からの数値シミュレーションのための準備を整えた。 3 海で囲まれた島の内陸部の浸透領域の問題に1で得られた結果を応用すると、島の周囲からの流入する流体の振幅とその周期によって島が水没することが分かった。現在 その周期と現実の潮汐の干満のそれとを比較検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研申請にあたって必要な数学モデルの構築、数値計算法の構成法について調査し準備を行っていたので、当初年度(23年度)の計画は予定通りに進んだ。その結果 当該当年度(24年度)もある程度順調に進めることが出来た。 固定境界条件を与えた時の定常解の分類、その存在と一意性、時間発展に伴う安定性が数値的に示され且つ数学的に証明が出来たからである。更に 振幅を一定にしたとき 周期を十分短くするとサポート分離が発生しない数値例を見つけることが出来、 且つ、これに対する数学解析が次年度の研究の主なテーマになることが期待されるからである。 ただ「階段関数的メッシュ生成法」による数値解の安定性及び収束性には依然として必要とされる評価式が得られないので 数学的証明の困難さがまだある。一方「Interface直接近似法」においては初期関数に対する条件を緩和することが残っている(下に凸であることを取り除くこと)。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度(24年度)においては「階段関数的メッシュ生成法」については不十分であったが、「Interface直接近似法」についてはほぼ期待通りの成果を得ることが出来た。「階段関数的メッシュ生成法」については その数学的証明を試みると同時に 今後は更に新しい方向性も模索しながら当初の計画に従って進めていく。即ち当該24年度で数学的に保証された「Interface直接近似法」を用いて「蒸発と拡散を伴う流れに現れる浸透領域の変化」をサポート・ダイナミクスの観点から数値的にアプローチしその現象の解明を目的とする。当該年度に得られた興味深い結果 即ち "境界条件として与える関数の振幅を一定にした時 周期を十分短くするとサポート分離が発生しない数値例" に焦点をあててその解明を進める。具体的には以下の通りである。 1) 周期を短くするとサポートが分離しない数値例を多く探す。その時に与える境界条件の周期関数の振幅とその中心位置を調べる。または 反対にどんなに周期を短くしてもサポートが分離したままの数値例を探し、与える周期関数の振幅とその中心位置を調べる。 2) 1)について数学的証明を行う。そのためには 比較定理を整備する。及び これまでに得られているGalaktionov-Vazquezの特殊解、Kersnerの特殊解を援用する。かなり強い条件の下では 1)については肯定的な結果が期待される。 3) 「Interface直接近似法」を空間2次元に拡張し、空間2次元でのサポート分離の特徴を探す。特に 矩形領域の境界、そのx軸方向には固定値を y軸方向には周期関数を与えた時のサポート分離を調べる。空間1次元と違ったサポートの挙動が期待できる。 4) 海で囲まれた島の内陸部の浸透領域については 当該研究で得られた周期と現実の潮汐の周期との整合性について考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度(24年度)についてはほぼ期待通りに進めることが出来た。その結果、物品費、旅費、人件費において次年度(25年度)使用金額の変化が若干生じた。特に平成25年3月下旬に中国(上海・蘇州)での数値解析の日中会議発表参加を計画し、そのために海外旅費を物品費から転用しようとしたが、昨今の邦人に対する治安情勢を考慮して本会議が次年度に延期された。その結果、繰り越しが生じた。このことを踏まえて以下の使用計画に沿って研究を遂行する。 1) 推進方策で述べた項目1),3)を行うには、初年度(23年度)に購入したワークステーションを活用する。更にコンピュータシミュレーションを通して得られる多量な数値データの画像処理とその蓄積に専用のデスクトップパソコンが必要となる。空間2次元への拡張については、有限要素法の数学理論の専門家による評価及び知見が必要とされる。そのための研究連絡打ち合わせを予定している。数値計算結果の吟味には2名の連携研究者との研究打ち合わせも不可欠である。 2)項目2)を行うには数学的な議論が必要である。そのためには生物モデル、燃焼モデルに現れる進行波解の漸近挙動及び定常解の安定性等を主テーマとしている反応拡散系の国内研究者の知見を必要とする。特に 彼らとの議論のための国内旅費が不可欠である。 3)現在 得られつつある成果については自由境界問題及び数値解析関連の国際会議や研究集会等で発表し、その評価を受ける予定である。そのための海外旅費が必要である。 4) 推進方策で述べた項目4)について 環境工学分野の研究者からの知見をも集めて進めていくので打合せ旅費が必要となる。
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Research Products
(6 results)