2012 Fiscal Year Research-status Report
1変数ベキ級数の関係式と空間曲線の反復積分によるコーディング
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23540236
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
中居 功 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (90207704)
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Keywords | 国際研究者交流、フランスおよびイスラエル / 常微分方程式 / 反復線積分 / マグナス展開 / 関係式 / 平面曲線 |
Research Abstract |
当該研究課題の目的の一つである曲線の反復線積分によるコード化の理論と常微分方程式の解の研究結果について2012年10月15-19日にフランス、ルミニーCNRS研究所で開かれた複素葉層の国際研究集会で発表し, そこでの多くの参加者と研究討論することができた。また、そこでのノビコフ教授との議論を継続するため2013年2月にイスラエル、ワイツマン研究所に招かれた。この訪問中のノビコフ教授、ヨムディン教授との議論により平面曲線のモーメント行列とその曲線に付随する常微分方程式のセンター条件が少なくとも表面的には密接に関連していることが明らかになった。ヨムディン等のアーベル常微分方程式のセンター条件すなわち原点に近い全ての解が閉じているための条件におけるモーメント条件とは、平面幾何学的側面だけについて述べると、方程式に対応する平面曲線の始点と終点が異なる場合は、それらを結ぶ直線とで囲まれた領域の曲線の巻き付き数の分布の線分の法線方向への射影が自明である、つまり0であることである。ヨムディン等の近年の一連の注目される結果は、平面曲線が多項式関数でパラメトライズされるとき、そのモーメント条件が対応する常微分方程式のセンター条件を導くことであり、またそれから派生する様々な問題の解決である。しかしながら、これらのことは多項式的でない一般の曲線あるいは一般の常微分方程式では成り立たないことが予想され、いくつかの反例がみつかっている。上の共同研究により一般の閉曲線に対してモーメント条件とセンター条件を共に課したとき巻き付き数のモーメント行列が退化していなければならないことを発見した。この結果の真の理由は現段階では不明であるが、モーメント行列の退化条件の常微分方程式にたいして持つ意味のさらなる研究の必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画の中で直ちに実行可能であると考えられていたランダム平面曲線に沿った繰り返し反復積分の統計的性質をさぐるための計算実験の実行に不可欠であったGPUによる並列計算にたいして、LINUX上のマテマティカが対応するのが、当初謳われてていたバージョンではなく、一世代後のバージョンのさらなるマイナーバージョンアップまで待たなければならなかったことに、1年半以上の実験の遅れの原因がある。一方でこのことは、時間を主に理論的研究に時間を割くことにつながり、進捗は緩やかではあるが、結果的に本来の研究姿勢を保つことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
平面曲線のモーメント行列の退化条件とセンター条件との関係を明らかにする。また全ての平面曲線を記述する自由リー環に値を持つ常微分方程式の解を表すマグナス展開の各係数の幾何的解釈を探り、それより1変数形式ベクトル場のリー環に値を持つ常微分方程式の解に還元したときのマグナス展開の各テイラー係数の幾何的解釈を探る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費を以上の計画のための研究連絡のための出張旅費と、また計算機環境の整備にあてる。
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Research Products
(2 results)