2014 Fiscal Year Research-status Report
一般超幾何関数とモノドロミー保存変形による可積分系の大域的研究
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23540247
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
木村 弘信 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (40161575)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 一般シュレジンガー方程式 / 準直交多項式 / Twistor理論 / 一般超幾何関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究課題は以下の2つであった.1.Riemann-Hilbert分解の手法を用いた一般Schlesinger系(GSS)の特殊解の構成の完成.Painleve方程式 P_6 についてはShahとWoodhouseの仕事がある.2.GSS に対するSchlesinger変換の構成およびHGFの隣接関係との関連を明確にする.gl(N)のHのLie環 h によるroot空間分解との関連を明確にする. 第1の課題については,GSSの解に対応するTwistor空間上のSL(2)-ベクトル束が直線束のextensionになっている場合に,その貼り合わせ関数をグラスマン多様体Gr(2,N)上の一般超幾何関数を用いて与え,Atiyah-Ward構成によりGSSの特殊解を構成したが,まだ一般超幾何関数におけるパラメータとGSSにおけるパラメータの具体的な対応は記述できていない.この特殊解の構成によって,古典的な直交多項式の重み関数をグラスマン多様体Gr(2,N)上の一般超幾何積分の被積分関数で置き換えて得られる準直交多項式とGSSの上記の特殊解が関係していることが分かった.より具体的には,重み関数のモーメントを成分とするHankel行列式がGSSの特殊解のtau関数になっているということである.このことは,研究集会「微分方程式の展望」において発表した.課題としては,上に述べたように,一般超幾何関数におけるパラメータとGSSにおけるパラメータの具体的な対応は記述できていないことである.第2の課題については,まだ具体的な結果が得られていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学に関連する他の業務が多忙で年間15回ほどの出張を行ったため,本年度に取り組む予定であった研究課題を推進する十分な時間が確保できなかったのが主な理由である.また,得られた結果をスペインで開催された研究集会において発表するつもりであったが,同様の理由で参加できなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
6年度に積み残した課題を解決すべく引き続き研究を行う.特に,Atiyah-Ward構成を詳しく見直すことにより,一般超幾何関数におけるパラメータとGSSにおけるパラメータの具体的な対応を明らかにする.この結果を平成27年9月にポーランドで開催される研究集会で発表し,この分野の専門家との意見交換をする.積み残した2番目の課題については,Atiyah-Ward構成の立場から,一般超幾何関数に対する隣接関係とGSSのSchlesinger変換の対応を詳しく調べる.
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Causes of Carryover |
平成26年度において研究していた項目のうち,「一般シュレジンガー系の超幾何関数による特殊解の構成」について,準直交多項式との関連を見出し,その結果を昨年(2014年9月)にスペインで開催された研究集会で発表する予定であった.しかし,他業務による出張があり,予定していた研究集会に参加できなかったため,未使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
一般シュレジンガー系の特殊解と準直交多項式との関連についての結果をさらに発展させ,2015年9月にポーランドで開かれる研究集会で発表する予定である.未使用額はこのために経費に充てることとしたい.
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Research Products
(1 results)