2014 Fiscal Year Research-status Report
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23540252
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
筧 三郎 立教大学, 理学部, 教授 (60318798)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 可積分系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、可積分系の理論の応用範囲を広げることを主な目的としている。2014年度は、微分幾何学、流体力学、組合せ論との関連を調べ、以下の成果が得られた。(2-5の結果は九州大学応用力学研究所における研究集会で報告した。) 1.微分幾何学への応用に関しては、昨年度より研究を続けている平面曲線の問題に関する結果をまとめて論文を投稿し受理された(梶原健司氏 (九大IMI) との共同研究)。 2.岩尾・広田の意味での結合型mKdV方程式のソリトン解の構造について、整数の分割の言葉を用いて整理し、理解を深めることができた(中川剛氏(立教大院生)との共同研究)。 3.Hemery-Veselov によって可積分系理論を応用して構成された2次元渦の定常配置について、その安定性を考察した (上野拓氏(立教大院生)との共同研究)。これまでに調べた範囲では、準安定な配置は既知のカルマン渦の場合のみである。 4.いわゆるHele-Shaw流れについて、表面張力の効果を取り入れると、虚数係数のDym方程式が得られることが知られている。この方程式に対して、広田の双線形化の立場から離散化し、数値シミュレーションを行った(丸野健一氏(早大),野見山雅之氏(立教大院生)との共同研究)。また、自己無撞着場付き変形KdV方程式との関係も考察した(梶原健司氏(九大IMI)との共同研究) 5.ヤング図形の理論における jeu de taquin slide と呼ばれる操作が、さまざまな観点から研究されてきた。神戸大学の三上優氏、太田泰広氏は、 jeu de taquin slideと可積分系理論との関係を研究し、離散KP方程式との関係を見出した。今回の研究では、定式化に若干の修正を加えることで、可逆な方程式を導くことに成功した(片山陽介氏(立教大院生)との共同研究) 。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平面曲線の運動論に関する結果は論文が受理されたが、それを拡張する研究が十分には進展していない。本年度は、微分幾何的問題以外に、流体力学的問題、組合せ論的問題なども扱い、上述の予備的な結果を得ているが、それを発展させるためには今しばらくの時間を要するように思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、微分幾何学、流体力学、組合せ論、統計力学などといった分野において、可積分系理論との関係を探ってきた。可積分系理論の応用はこのように広い範囲に及ぶが、研究計画の最終年度である2015年度には、あまり話題を広げすぎずに選択と集中を行うことで、研究をまとめあげていこうと考えている。
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Causes of Carryover |
来年度は北京(中国)で行われる国際研究集会、京都大学で行われる研究集会に、オーガナイザーとして参加することとなったので、当初の計画よりも旅費がかかる見込みとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度における主たる使途としては、研究代表者および研究協力者が研究打合せ、研究発表を行う際の旅費が挙げられる。より具体的には、北京における国際会議(ICIAM2015)への参加、京都大学での研究集会への参加などである。また、計算機に関する消耗品、および資料整理のための補助記憶媒体購入のための支出も必要となる。また、研究資料としての書籍の購入費としても使用する。
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[Presentation] 平面渦の定常配置と安定性2014
Author(s)
上野拓,筧三郎
Organizer
非線形波動研究の現状 ―課題と展望を探る―
Place of Presentation
九州大学応用力学研究所(福岡県春日市)
Year and Date
2014-10-31 – 2014-10-31
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