2014 Fiscal Year Research-status Report
Flavor Structure in String Theory
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23540286
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川野 輝彦 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20292831)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | String Theory / F-Theory / コンパクト化 |
Outline of Annual Research Achievements |
F-Theoryのコンパクト化において7ブレインのWorldvolume理論がGUT理論のゲージ場などを与えるが、クォークやレプトンなどの物質場の湯川相互作用はフレーバー構造を理解する上で根幹をなす。これまでの研究は、場の3点相互作用の研究が主であったが、物理的な湯川結合定数には、場の運動項を知る必要がある。超対称性をもつ大統一理論の場合には、運動項を与えるD-termを知る必要がある。以前、土屋氏と渡利氏と共同で、これらの運動項を解析して調べた結果、物質場の運動項が7-braneが交差している複素曲線上の積分に「局所化」した形で与えられることを明らかにした。しかしながら、この積分をもっと具体的な形で評価できるまでには至らなかった。 そこで、このようなD-termを具体的な形で評価する可能性を求めて、最近活発に研究されている「局所化」という手法について研究を進めた。これまでの研究では、M5-brain上の理論を時間方向にコンパクト化した5次元SuperYang-Mills理論を丸い3次元球面と2次元リーマン面にコンパクト化した場合に「局所化」を使って分配関数を計算した。 さらに、去年度からの研究を推し進めて、6次元N=(2,0)超重力理論を使って、5次元SuperYang-Mills理論の3次元球と2次元リーマン面へツイストを伴うコンパクト化した理論について系統的に調べた。そこで、丸い3次元球の場合にも去年までに扱っていたツイスト以外に、超対称性の数が多いツイストについて調べた。また、3次元球がsquashされた場合は去年度に研究済みであったが、さらに超対称性が多い場合への拡張を調べた。さらに、ellipsoid球面上へコンパクト化した場合についても理解が進み、さらに研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
F-Theoryでのコンパクト化でGUT理論を作る際には、7ブレインの位相的なツイストという操作によって超対称性を保つようにしている。今回の「局所化」手法を主にした研究で、 今年度に新たに認識された点は、このツイスト効果であった。今年度は、去年度に得られた結果をまとめる計画であったが、このツイストの効果を具体的に調べることの重要さを悟るに至り、こちらの研究を進めることを優先した。さらに、3次元球を変形したellipsoidで調べることで球面の変形の効果を吟味することも重要であるため、ツイストの効果と合わせて研究することにした。今年度は、まずこれらの多くの結果をまとめた形で発表し、弦理論のコンパクト化におけるD-termを求める手法を開発する方向で更なる研究を進めてゆきたいと考えている
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Strategy for Future Research Activity |
F-Theoryのコンパクト化におけるD-termについて、Kahler potentialの高次の項まで計算することは、soft SUSY breaking termに直接繋がり、超対称性の破れの問題とそのFCNCなどのフレーバー問題が密接に関係する非常に重要な計算となり、F-theoryのコンパクト 化がこれらの項に対してどのような結論を持つかについても興味深いがまだきちんと議論されていない。また、一般に、超対称性を持つ理論では、このD-termを求めることは現在困難な問題である。このような問題に、これまでに研究してきた「局所化」の手法が活かせる可能性を検討したい。この手法は、基本弦の2次元面上の理論に適用できることが最近の研究で明らかにされた。これは、ある種のコンパクト化のD-termを求めることができることを意味している。しかしながら、F-Theoryには、このままでは応用できるわけではないので、更なる研究を推進する必要がある。特に、タイプIIBやヘテロティック弦理論も含めた「局所化」の手法の適用で、これらの理論のD-termの解析が進めるような方法を考える方針である。よって、全体的な方針自体には変更がないと考えている。
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Causes of Carryover |
当初の使用計画に特別に大きな変更はなかったが、様々な経費の端数が積み重なって、 次年度使用額が生じるに至ってしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の使用計画に特に大きな変更が必要であると考えておらず、想定の範囲内であるので、これまでの使用計画を踏襲するつもりである。
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Research Products
(1 results)