2013 Fiscal Year Annual Research Report
ラージN極限におけるツイストされた時空縮約モデルの研究
Project/Area Number |
23540310
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大川 正典 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00168874)
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Keywords | 素粒子理論 |
Research Abstract |
素粒子の標準モデルは、その基礎をSU(N)ゲージ理論においている。一般にSU(N)ゲージ理論は非常に複雑な構造を持っているが、4次元格子上で定義されたSU(N)格子ゲージ理論は、Nを無限に持っていった極限で時空の自由度を内部空間に吸収できてしまう可能性が ある。実際、江口・川合は格子点が1点しかない時空縮約理論を考えた。現在この理論は江口・川合模型(EK-model)と呼ばれているが、物理的に重要な弱結合領域では、理論の持つZ(N)対称性が自発的に破れてしまい、このモデルは正しくない。この困難を解決するために、Gonzalez-Arroyoと申請者は、EK-modelにツイストされた境界条件を課しtwisted EK-model(TEK-model)を提案した。 TEK-modelが正しくSU(N)格子ゲージ理論を再現するのであれば、ラージN極限での弦定数が計算できるはずであり、平成23、24年度はこの研究を行った。得られた結果は、通常の有限なNの格子ゲージ理論でNの値を3, 4, 5, 6, 8にとり、N 無限大への外挿を行った値と完全に一致しており、TEK モデルの正しさが証明されたと同時に、ラージN ゲージ理論の弦定数が外挿せずに直接求まったことになる。 近年、アジョイント表現に属するフェルミオンを伴った SU(N) ゲージ場理論が大きな関心を呼んでいる。25年度は、この理論のラージ N 極限での性質を、ツイストされた時空縮約モデルを用いて研究した。2つのアジョイントフェルミオンを持つ理論では、クォーク質量を小さくしたとき、弦定数が急速にゼロに近づき、赤外固定点で支配されるコンフォーマル理論の特徴を示すことを確かめた。1つのアジョイントフェルミオンを持つ理論では、クォーク質量を小さくしても弦定数は有限の値にとどまり、理論はコンファイニングなように見えることを示した。
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