2013 Fiscal Year Annual Research Report
近未来のニュートリノ実験におけるCP非保存感度最大化
Project/Area Number |
23540315
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
南方 久和 首都大学東京, 理工学研究科, 名誉教授 (00112475)
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Keywords | CP非保存 / ニュートリノ振動 / フレーバー混合 / 牧-中川-坂田行列 / レプトン混合角 / 加速器ニュートリノ / 原子炉ニュートリノ / パラメター縮退 |
Research Abstract |
本研究計画の課題は、レプトンフレーバー混合構造決定において残された最大の課題であるレプトンCP非保存位相の測定に対して、現行ニュートリノ実験がどこまで迫れるかを明らかにすることである。今年度はこの核心的課題、原子炉ニュートリノ実験によって1-3角の精密測定がなされるという現実的設定の下で、日本のT2Kおよび米国NOVA両加速器実験のそれぞれが、またそれらの組み合わせによって、どのようなCP非保存位相δに対する感度が達成されるかについての研究を行った。T2K実験グループの横山将志氏の協力の下、電子ニュートリノ出現モード、ミューニュートリノ逓減モードのそれぞれについて信頼のおけるコードを作成した。両実験の最長10年間の稼働を仮定して、CP非保存感度について信頼度の高い評価を行った。また、新しいCP位相感度の表示方法CP-exclusion fractionを提案した。この結果、現行実験の組み合わせによって、CP位相の精度良い測定というゴールへの見通しを与える程度の感度を実現できることが分かった。さらには、この最上感度実現には運転期間の半分程度の時間を反ニュートリノ・モード運転に割く必要があることも判明した。これらの結果は論文としてJHEP誌に投稿済みで掲載が決定している。 上記研究の過程において、CP非保存感度の改善には2-3角の測定精度の向上が本質的に重要であることが判明した。米国フェルミ国立加速器研究所のStephen Parkeシニア研究員と共同で、2-3角とCP非保存位相の同時測定への新しい戦略を提案した。この研究の中でこれまで認識されていない新しいパラメター縮退構造を見出し、この解決方法を提案した。(Physical Review D誌に掲載済み)現在この全体構造の解明に関する研究を実行中である。今年度の研究費は旅費として主にこの新しいテーマの研究に使われた。
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Research Products
(5 results)