2011 Fiscal Year Research-status Report
二次非線形光学効果を用いた凝集し修飾された単結晶上原子ステップの機能の研究
Project/Area Number |
23540363
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
水谷 五郎 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 教授 (30183958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 良広 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 助教 (70467124)
佐野 陽之 石川工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (80250843)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | ナノワイヤ / 白金 / 金 / TiO2 / SHG / SFG |
Research Abstract |
本研究では、欠陥の1カテゴリーである表面ステップに注目して固体単結晶上でそれを整列させ修飾し、その電子振動スペクトルを二次の非線形光学効果(SHG,SFG)を用いて選択的に測定解析することを目的としている。初年度である本年度は1.研究者既有の技術である斜め蒸着による自己陰影法の改良として、既存の装置より試料基板に対して、よりすれすれの角度で蒸着できる試料ホールダーを設計して製作した。改良点の主たるポイントは、ホルダーの幾何学的形状とヒーター線や熱電対線の設計の改良により、試料の回転をさまたげない十分な可動スペースをとることにあった。製作は終了し動作試験も良好であった。2.金の蒸着源としてTa板、Wヒーターおよびセラミックスの坩堝を用いた自家製のクヌーセンセルを設計終了した。材料を購入し所属機関の機械工作室に工作を依頼する予定である。一方、今まで使用してきた超高真空槽に真空漏れが見つかった。この漏れの対策を本予算で行っている。真空漏れが止まったら、直ちにクヌーセンセルの動作確認を含めて蒸着作業に入る予定である。3.MgO(210)面上にPtを斜め蒸着することにより、線幅2nmのPtナノワイヤ列を作ることに成功した。このナノワイヤ列のワイヤ間隔はおよそ7nmであり、ワイヤ列全体のサイズは10mmX10mmである。このワイヤ列からのSHGを測定したところ、7nmの線幅のPtナノワイヤよりも、出力強度が数10倍強いという興味深い結果を得た。この原因としては、非線形応答を担っている電子が量子閉じ込め効果を受けていることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試料ホルダーの改良は本研究のもっとも重要な部分である。修飾原料の蒸着の角度にして10度ほどの低い角度の蒸着ができることが1つの基準であったがこの基準をクリアすることができた。金の蒸着源も自家製のものの設計が順調に終わった。また、それらの作業と並行してMgOファセット上の金属ナノワイヤの製作も順調に行うことができた。従って、概要に記したような真空槽の真空漏れの件以外は、おおむね順調に交付申請の内容を実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.試料製作用の超高真空槽の真空漏れの問題は早急に解決し、新しい金の蒸着源のテストができるように努力する必要がある。現在有機系の真空漏れ充填剤トールシールを用いて漏れか所の除去を行っており、ほぼ作業は終了しつつある。2.MgO(210)ファセット面上で2nmのPtナノワイヤができたことは大きな成果であり、その非線形光学的性質を詳しく探るとともに、さらに細いナノワイヤができないか検討することは非常に有意義である。次の段階として蒸着する金属をPdにしてさらに細いナノワイヤ、具体的には1nmのワイヤができないか、実験的に検討する。3.TiO2ファセット面上のAuナノワイヤの製作も予定通り推進する。ファセット化する面指数の予想をするために大阪電気通信大学の阿久津らが開発した現象論的な理論を用いる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.TiO2の基板および小さな視射角で蒸着できる装置を用いて、Auを斜め蒸着する。Auがナノワイヤになっているかどうかは、蒸着後の試料を透過電子顕微鏡の上面像と断面像を観察することによって行う。このための材料費を本研究費で支出する。2.要素物質およびモデル物質のステップの電子・振動準位と反応性の研究を行う。すなわち、まずTiO2触媒高指数(13 9 0)面においてステップバンチングを確認し、そのステップ特有の電子状態に非線形効果ととそのステップの光触媒活性をメチレンブルー色素溶液の光分解反応を用いて定量化し、電子準位との相関性を調べる。このための基板と薬品の購入を本研究費で行う。3.もう1つの要素物質である、Au高指数面Au(887),(443)面に反応物質である、CO,O2,H2Oが吸着した場合の電子スペクトルの変化を調べる。このための真空部品および試料を本研究費で購入する。なお、本年度は未使用金額が48,492円生じた。この予算を用いて光源であるレーザーのフラッシュランプなどの消耗品を購入する。
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Research Products
(6 results)