2013 Fiscal Year Research-status Report
二次非線形光学効果を用いた凝集し修飾された単結晶上原子ステップの機能の研究
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23540363
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
水谷 五郎 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 教授 (30183958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 良広 防衛大学校, 応用科学群, 講師 (70467124)
佐野 陽之 石川工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (80250843)
KHUAT Hien 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 助教 (30729190)
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Keywords | 表面ステップ / ナノワイヤ / 白金 / 金 / パラジウム / 酸化チタン / 光第二高調波発生(SHG) / 光和周波発生(SFG) |
Research Abstract |
本研究では、欠陥の1カテゴリーである表面ステップに注目して固体単結晶上でそれを整列させ修飾し、その電子振動スペクトルを二次の非線形光学効果(SHG,SFG)を用いて選択的に測定解析することを目的としている。本年度の成果は以下の3項目である。1.ガラス基板の上にCrを20nm成長させ、数十nmのスケールのVの字の形をしたホールを周期的に製作し、その試料からのSHGを基本波長532nmの光で観測した。この構造から発生するSHGはCrのバルクの電気四重極子相互作用により発生する非局在的な応答による分極によるものであることがわかった。Vの字のパラメータである、腕の長さLとハサミ角Aによる依存性を観測した。Lが長いほど、またAが大きいほどSHG応答が強いことがわかった。本件については、すでに論文が一報出版されており、もう一報の論文が査読中である。2. MgO(210)面上にMgOをエピタキシャル成長させたファセット面にPdを斜め蒸着し、エピタキシャルに成長したPd細線について詳しく解析した。その結果、Pdの格子定数はファセットエッジと垂直な方向ではバルクの値よりも小さい、すなわち格子が歪んでいることを確認した。なおまたPdの格子がファセットの方向と格子の方向を揃えて成長する原因は、ファセット面上の格子欠陥かまたはファセットエッジが成長核となり、Pdの膜が広がって成長したと考えられた。本件については論文が一報査読中である。3.斜め蒸着による自己陰影法を用いてTiO2上にAuのナノ細線を製作するための、クヌーセンセルの製作を行っていたが、水冷パイプから真空漏れが発生した。この真空漏れは水冷チャンバー単体をリークデテクタで検査しても検出されないものであったが、蒸着装置に装着して運転を始めると発生するものであった。最終的に新品の水冷チャンバーを作成し、真空漏れを取り除くことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自作の金の蒸着源製作の製作が一度は終了したが、水冷チャンバーの水冷パイプの部分から真空漏れが発生し、結局は水冷チャンバーを作り直したので、思わぬ時間の浪費をしてしまった。したがって、必ずしも計画に対して順調に研究が進んでいるとは言えない。しかし、英国サウサンプトン大学との共同研究により、新たに電子ビーム露光による修飾微細構造の研究として、Cr膜を加工した試料のSHG応答の観測が非常に順調に進んでいる。これについては2つめの論文が受理されるよう努力をすることが肝要と思われる。またMgOファセットテンプレート上のPdのエピタキシャルナノワイヤの研究も、論文が受理されることを目指したい。
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Strategy for Future Research Activity |
1.現在学術雑誌で査読中の2通の論文が受理されるように努力をする。2.Auをななめ蒸着するためのファセット化したTiO2を作製するもととなるTiO2(15 15 4)基板を購入する。ファセットの出来具合や、Au蒸着後の試料がナノワイヤになっているかどうかを、蒸着後の試料をRHEEDおよび透過電子顕微鏡の上面像と断面像を観察することによって行う。このための消耗品費を本研究費で支出する。 3.もう1つの要素物質である、Au高指数面Au(111)面に反応物質である、H2Oが物理吸着した場合の電子スペクトルの変化を調べる。このためにより純粋な水を吸着するための真空配管の改良を行う。このための真空部品および試料を本研究費で購入する。4. PtおよびPdをMgO(210)表面上に蒸着する実験も行い、Auナノ細線との比較を行う。そのための基板や金属材料真空材料の購入を行う。5.共同研究者の防衛大学宮内良広講師においては、フェムト秒レーザーを用いた真空低温中のステップ表面の観察をするための装置の電気配線を改良するための部品の購入を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は蒸着チャンバーの真空漏れが再び発生して、試料の作成が遅れたため、Pdナノワイヤからの光第二高調波応答を観測するために使用するレーザーを維持するための経費が未使用に終わった。 Pdナノワイヤからの光第二高調波応答を観測する実験に使用する光源であるレーザーのフラッシュランプなどの消耗品の購入やレーザー電源の交換部品の購入に充てる。
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Research Products
(12 results)