2012 Fiscal Year Research-status Report
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23540391
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
繁岡 透 山口大学, 理工学研究科, 教授 (50167441)
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Keywords | 1-2-2型化合物 / 成分分離逐次磁気転移 / 部分成分秩序相 / 中性子回折 / 中性子磁気散漫散乱 / 高磁場磁化過程 / 四極子秩序相 / 弾性定数 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,HoRh2Si2単結晶の各種物性測定を行った。また,より純良な単結晶の育成も試みている。得られた単結晶を用いて以下の測定を行った; 1)弾性定数測定の磁場依存(新潟大学後藤研究室との共同研究);非常に強い磁気異方性が確認された。この化合物は複雑な磁気相図持つことがわかった。さらに,高磁場,40 T付近にも磁気転移があることが示唆された。 2)強磁場磁化過程;上記の示唆をうけ,強磁場磁化測定で転移を調べた。その結果,各方向に30~40 Tで磁気転移の存在を確認した。これらの結果を総合して,より完全なB-T磁気相図を作った。 3)磁気構造の決定(日米協力中性子散乱事業による);中性子回折実験をオークリッジ国立研究所行った。そして,各相における磁気構造を決定した;III相(T<TN2): 波数ベクトルk=(0,0,1), Mはc軸から約30°傾いている,II相(TN2<T<Tt):k=(0,0,1), M//c, I相(Tt<T<TN1):k=(1/2,1/2,1/2),M//c,この結果は,成分分離磁気転移と矛盾しない 4)中性子磁気散漫散乱;磁気散漫散乱をTN2以上の温度で観測した。この結果は,II相が部分成分秩序相であることを示している。 5)磁化の角度依存;低温で磁気モーメントが傾いているのを確かめるために磁化のc軸からの傾き角依存を調べた。結果は現在解析中であるが,傾き角を決定できる予定である。 疑三元系化合物の単結晶育成とその物性測定 1)(Ho1-xYx)Rh2Si2 (x=0.05)単結晶の育成を行った。その結晶を用いて,磁気的な測定を行い,転移温度および各温度における磁化課程を調べた。 2) (Ho1-xGdx)Rh2Si2(x=0.05)単結晶の育成を行ったが,まだ,純良な単結晶を得ていない。今後さらに純良単結晶の育成を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
福島原子力発電所事故の影響等により,JRR3原子炉が停止したままであり,予定していた中性子散乱実験が行えなかった。一部は日米協力中性子散乱事業により,オークリッジ国立研究所で行ったが,まだ,非弾性散乱実験等は時間不足もあり行えなかった。また,アメリカのヘリウム製造工場の事故により,購入予定であった液体ヘリウムがこなかったため,PPMS等による磁化および磁場中比熱測定等も行えなかった。 疑三元系化合物の単結晶育成が予定していたより困難で難航しており,これら化合物の測定が遅れている。 。
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Strategy for Future Research Activity |
中性子散乱実験については,日米協力中性子散乱事業および物性研共同利用実験に採択されているので,オークリッジ国立研究所およびJRR-3で行う予定である。まだ液体ヘリウムがない予定であるが,共同研究者のいる東京大学物性研究所および新潟大学での共同研究を増やしていく予定である。疑三元系化合物の単結晶育成については,現在,育成条件の精査およびフラックス法等,他の方法での育成を試みており,近いうちに純良単結晶育成に成功すると考えている。これらの測定を加速させていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
液体ヘリウム購入ができなかったこともあり前年度の予算は少し今年度に持ち越した。 今年度は,成果報告(国際会議3会議,国内3会議)および共同研究(液体ヘリウムがないために行えない実験遂行)のために,国内外の旅費を多く使用する予定である。
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