2013 Fiscal Year Annual Research Report
密度汎関数変分法による遷移金属酸化物の電子状態計算
Project/Area Number |
23540408
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
草部 浩一 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (10262164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 勲 福岡工業大学, 情報工学部, 准教授 (20422339)
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Keywords | 密度汎関数法 / 遷移金属酸化物 / 電子状態計算 / 強相関電子系 / 変分法 / 銅酸化物高温超伝導体 |
Research Abstract |
密度汎関数変分法(DFVT)による標準電子模型を与える経路積分法による厳密な定式化を日本物理学会において公開した。アップコンバージョン法が定める多体散乱過程の振幅を典型的なモット絶縁体であるLa214において評価し、モット絶縁性を示す結果が得られることを公表した。この定式化では知られている多体電子系用のソルバーであるC-DMFT, VCA, FLEX+vertex correctionなどの方法が直ちに適用できる。 物質設計として、多層系銅酸化物の未知候補物質の選定を進め、多層Hg系において基本的な電子構造決定パラメータである3d軌道間エネルギー差及びフェルミ面形状制御因子が、正孔ドープ量やCuO2層数に殆ど依存しないことを確定して、物質設計基準を定めた。さらに、未合成の化合物CdBa2Ca2Cu3O8-dが、Tc>130Kの転移温度が実験的に確定しているHg系に匹敵する超伝導性を発現しうることを結論する数値データを得た。このデータに基づいて、実験グループに合成可能性を示した。 α相MNX系超伝導体で未知であったpyridine-TiNClにおけるドーピング機構が、環境中の水分から発する還元作用として説明しうることを理論的に示した。これにより、α相MNXで層間ペアホッピング機構が重要となることを論じた。 実験グループとの連携により、適切な水素化欠陥構造をもつグラフェンを作成・解析して、欠陥起源の強相関効果である局在電子状態の発生を確定した。これは、化学反応制御によるエッジ状態とその磁性状態のスイッチングが可能であることを示すものである。 電子間斥力散乱起源の超過程を評価するため、DFVT計算に基づく物質中の2体電子散乱振幅を考慮し、2体グリーン関数決定が可能となる数値対角化計算プログラムを作成した。これらの研究実施によって、多配置参照密度汎関数法に基づく計算技術の公開を進めた。
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