2012 Fiscal Year Research-status Report
自己駆動する境界運動と流れの相互作用による推進・輸送現象の解明
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23540433
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
飯間 信 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90312412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中垣 俊之 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (70300887)
郡 宏 お茶の水女子大学, お茶大アカデミックプロダクション, 准教授 (80435974)
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,剥離渦の干渉による流体力学的同期を調べるために複数のバネ支持円柱を一様流中に置いた場合の同期条件を数値的に調べた.渦剥離が起きるレイノルズ数領域において,同期を引き起こす振動子間相互作用を数値計算データから定量的に推定した.この手法では剥離渦によるバネ支持円柱の振動を一つの振動子と捉え,2つの振動子間の相互作用の結合関数を位相差の関数として得ることが出来る.この系では流体部分の自由度により一般に円柱振動の挙動は複雑になりうるため,このような記述が可能かどうかの検証が必要である.もし位相記述が可能であれば得られた結合関数は同期条件を再現出来るが,不可能であれば結合関数は得られない.本モデルの場合,ある位相差領域を除いて結合関数を得ることができ,同期を説明出来るが,得られた関数はすべての位相差においては連続一価でなく,特定の位相差においては関数の不連続性が見られたり,多価関数になっていることがわかった.このような位相記述が破綻している箇所においては2つの円柱振動が作る渦パターンが遷移を起こして変化している.すなわち,剥離渦の時空間パターンが円柱間相互作用を支配する帰結としてこのような関数の特異性が表れることがわかった. 流体力学的同期の現状の調査および,本課題で得られた知見を関係研究者と共有し,情報交換を行うために,研究集会「生物流体力学における同期および関連する現象」を企画・開催し,35名の研究者に参加して頂いた.また,国際会議 "IUTAM Symposium on Vortex Dynamics: Formation, Structure and Function", 日本流体力学会を始めとする学会や研究集会で上記の研究成果を発表するとともに出席者と議論を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)渦が発生するレイノルズ数領域での位相引き込みと引き起こされる流れの関係について位相縮約を行い,同期条件の再現に成功した.これは生物流体等における複雑な相互作用についても,一定の条件のもとでは縮約が可能であることを示唆している. 2)一方,特定位相差においては渦パターンの遷移に伴って位相記述が破綻していると考えられる領域があることがわかった.1)と合わせて考えると,生物運動にしばしば見られる頑健性と柔軟な応答の両立と関係がある可能性がある. 3)本年度は研究集会「生物流体における同期および関連する現象」を企画し,成功させた.これにより研究成果の発信と,国内第一線の研究者による最先端の研究内容の講演を通した関連情報の収集に成功した. 4)その他国内外の研究集会で研究発表・情報収集を行い,研究課題遂行に有用な知見および関連する知見を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
1)バネ支持円柱間の同期という比較的単純な現象であっても見られる現象は当初の予想よりかなり豊かな内容を含んでいることがわかった.従ってこの系には本課題でターゲットとするレイノルズ数領域での同期現象に対して本質的な部分を含むと考えれられる.引き続き調査研究を行いつつ必要があればモデルの拡張を行い知見を蓄積する. 2)粘菌の境界運動パターンの自発的形成に関しては実際の観測データおよび工学的観点から検討を続け,モデルの改良を続ける必要がある.境界運動が引き起こす機能を実際の生物と照らしあわせ,より普遍的なモデルを構築することを目指す.ターゲットとする生物の種類や機能についても検討する. 3)生物流体力学における同期が引き起こす現象として,生物の集団運動や流れ構造の形成と機能の関係について検討する.成果発表と情報収集のため,本年度も研究集会を企画する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)今年度行う予定の研究集会の企画・運営に使用する. 2)生物観測及びデータ解析に必要な機器・消耗品の購入に充てる. 3)研究成果の発表および関連研究者との議論のために必要な国内・海外旅費に使用する.
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Research Products
(10 results)